インタビュー

ブレインフィーダー(Brainfeeder)はなぜ日本にとって特別なレーベルなのか?

コンピ『Brainfeeder X』を機にレーベル・スタッフと振り返る10年

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ブレインフィーダーというカルチャー

――ティーブスが描いたペイントの個展も開いてましたよね(2014年)。今回の『Brainfeeder X』は1曲目がティーブスで、あの淡いビートメイクはやっぱり素晴らしいなと。

白川ティーブスはツナおにぎりが大好きで。日本に来ると、いつもコンビニの袋を提げているんですよ(笑)。他ではテイラー・マクファーリンのワークショップも、彼の人柄が出ていておもしろかったですね。子どもたちにビートを作らせて、楽しんでいるのが良い光景だなって。そういった意味では、〈音楽だけではない〉という側面も大きいのかなと」

Photo by Tadamasa Iguchi
2013年に開催された〈BRAINFEEDER 3〉でのティーブス。自身のライヴ・ペイント作品の前で
 

若鍋「〈ブレインフィーダー〉としか言いようのないカルチャーを形成していますよね。フライローの〈SONICMANIA〉でのライヴを観て改めて思ったんですけど、挑戦的なサウンドやヴィジュアルを使っているのに、世界観がまったく崩れないんですよ。その一方で、『攻殻機動隊』の曲を使ったりとか、サーヴィス精神やエンターテインメント性もあって。彼のステージを観ていると、ブレインフィーダーがどういう方向に進もうとしているのかよくわかりますよね」

〈Brainfeeder Night in SONICMANIA〉でフライング・ロータスのライヴ前に配布された3Dメガネ
 

――破天荒なイメージがあるけど、根はマジメな人ですよね。

若鍋「めちゃくちゃマジメで勤勉だし、彼は〈本気な人〉を好みますね。ケンドリック・ラマーとのスタジオ・セッションについても、そこをかなり褒めていましたよ。ヒップホップのアーティストって、取り巻きをスタジオに連れてきて、ワイワイやりながら録るイメージがあるけど、ケンドリックは1人でやってきて」

白川「ちゃんと時間通りに来たんだよね」

若鍋「頭のなかに歌詞が全部入っていて、ブワーっと一気に録って。それがマジックを生んだんだって話してました。そういう本気っぷりを好んでいる気がしますね」

――自分自身もそうなんでしょうし。だからこそ、レーベルもフレッシュなまま10年続けられた。

白川「ずっと先を見ているんでしょうね。彼には僕らには見えない先が見えている感じがします」

フライング・ロータスの2014年作『You're Dead!』収録曲、ケンドリック・ラマーをフィーチャーした“Never Catch Me”

 

レーベル・スタッフ的『Brainfeeder X』の聴きどころ

――今回のコンピの感想はいかがですか?

若鍋「ストリーミング・サーヴィスのプレイリストが普及しているいま、コンピの存在意義が問われていると思うんです。一方で〈Late Night Tales〉やジャイルスの〈Bubblers〉シリーズのような、コンセプトのあるコンピって魅力的じゃないですか。その両面で理想的な回答を導き出しているなって、いちリスナーとして思いましたね。ブレインフィーダーというカルチャーを表現するような曲目で、リスナーを喜ばせる未発表音源も入っていて、パッケージにもこだわっている。そのあたりは流石ですよね」

――ディスク1は既発の音源が並んでいますけど、ある種のドラマ性すら感じさせる曲順になっていて。

若鍋「それぞれ違うジャンル、スタイルの音楽が並んでいるはずなのに、通して聴いたらちゃんとブレインフィーダーだってわかるんですよね。そういう意図みたいなものが透けて見える作品です」

白川「ディスク1は初心者の方でも、レーベルの全体像を知りたい人にもうってつけじゃないかなと思います」

――最後に収録された2曲のリミックスもいいですよね。サンダーキャットの曲をロス・フロム・フレンズが、ブランドン・コールマンの曲をフライローがそれぞれ再解釈している。

若鍋「例えば、サンダーキャットのヒット曲“Them Changes”をフライローがリミックスしたりしたほうが、字面のインパクトは強くなると思うんですよ。でも、フライローは曲をしっかり精査して、ブランドン・コールマンの“Walk Free”のほうが、レーベルにとってもっと意味のあるリミックスになると考えたんじゃないですかね。そういう面でも、実直だなーって思いますね」

『Brainfeeder X』収録曲、ブランドン・コールマンの“Walk Free (Flying Lotus Remix)”
 

白川「かたやディスク2は、例えばウォークやバッドバッドノットグッドの参加曲もそうだし、レーベルの新しい面が見えたり、この先が予想できたりする内容になっているのかなと」

若鍋「個人的には、ストレンジループが印象的で。フライローの3Dライヴのヴィジュアルをやっている人なんですけど、こんなに良い曲を書くんだなって」

――リトル・スネイクスやテイラー・グレイヴスといった新鋭も、このコンピで爪痕を残そうとしていますよね。これから飛躍しそうな感じがします。

若鍋「そうそう。発見が多いアルバムですよね」

 

ブレインフィーダーの輝かしき10年、そしてこれからの10年に向けて

――ちなみに、お2人が思い入れのあるブレインフィーダーのアルバムは?

白川「僕はね、オースティン・ペラルタの『Endless Planets』(2011年)なんですよ。たまに引っ張り出して聴くと……」

若鍋「めちゃくちゃ良いですよね」

白川「うん。いままで型にはまったジャズをやっていた人たちが、友達どうしのノリでそうじゃないことをやってる感じが良いんですよね。聴くたびに〈ルイス・コールとライヴやっていたよなー〉って思い出したり、ちょっとセンチメンタルになるアルバムですね」

オースティン・ペラルタの2011年作『Endless Planets』収録曲“Capricornus”
 

――オースティンが亡くなったのは、日本に来る直前でしたよね?

若鍋「そうです。フライローが出演した〈electragride 2012〉は、オースティンが亡くなった2日後だったんですよね。大切な親友が亡くなったわけですから、出演するか否かの判断は彼らに委ねていましたが、最終的に出演するって決断してくれて。そこで、サンダーキャットが一緒に付いてきたんです。彼は演奏しなかったんですけど、単純に友達として、フライローや仲間たちと日本で一緒に過ごしたかったみたいで」

白川「フライローがセットの最初にオースティンの曲をかけたとき、サンダーキャットは裏で泣いてましたね」

――オースティンの死というのは、ブレインフィーダーの10年にとって絶対に外せない話ですよね。今回のコンピにオースティンの曲は含まれてないけど、ディスク2のミゲル・アトウッド・ファーガソン“Kazaru”に参加しているように、彼の存在もどこか感じられるような気がして。

若鍋「そう思います。彼らがオースティンとのことを経て、人間として成長していった様子も、このコンピにちゃんと反映されている」


 Photo by Shinya Nagao
2011年に開催された〈BRAINFEEDER 2〉でのオースティン・ペラルタとサンダーキャット
 

――若鍋さんは一枚挙げるとしたら?

若鍋「選ぶのはすごく難しいけど……カマシ・ワシントンの『The Epic』の予想を超えたヒットは、ちょっと運命めいたものがありますね。あれで新しいファンを獲得して、レーベルとしても、いままでとは違う注目を浴びるようになって」

白川「フライング・ロータスいわく、レーベルのなかでもいちばん難産なアルバムだったと言っていましたし。なにせCD3枚組ですしね」

若鍋「でもそれが、ブレインフィーダーというだけではなく、もっと大きな枠組みで時代を象徴する名盤になったわけですよね」

カマシ・ワシントンの2015年作『The Epic』収録曲“Change Of The Guard”
 

白川「あとは〈クラブ・ミュージック〉とか〈ジャズ〉とか、それぞれの層に分かれていた音楽が、カマシやサンダーキャットがフェスに出演したりすることで、いままで馴染みがなかった層にも一気に浸透しましたよね。すごく裾野を広げてくれたなって」

――現在の状況は、10年前にはまったく想像がつかなかったことですよね。

若鍋「僕らが狙ってこういう状況を作ったのであれば、それを自慢してもいいんですけど、そうじゃないんですよね。本当に、彼らが自然とそうなっていった。僕はフライローと同い年なんですけど、彼らのように真剣にやっている同世代の人たちがいるということは、身が引き締まる思いなんですよね。ブレインフィーダーのこの10年は素晴らしかったし、これからの10年、20年もきっとそうなんだろうなと。学ぶべきものが多いですね、このレーベルからは」

白川「彼らのクリエイティヴィティーに、僕らも刺激を受けています」

 


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