近年、にわかに注目を集めているUKジャズ・シーンの俊才キーボーディスト、カマール・ウィリアムズ。彼が5月7日(火)にBillboard Live OSAKA、9日(木)にBillboard Live TOKYOで初の来日公演を行う。

キング・クルールやコスモ・パイクを輩出したことでも知られる南ロンドンの街、ペッカムで生まれ育ったカマールは、幼少期から音楽に心を奪われ、マイルス・デイヴィスやジョン・コルトレーンといったジャズから、黎明期のUKガラージやグライムまで幅広い音楽を吸収。ミドル・ティーンの頃にはドラムやパーカッションを叩いていたが、大学に入学後、鍵盤を学ぶようになった。

彼のミュージシャン人生にとって大きなキーポイントとなったのが、当時若干14歳だったドラマー、ユセフ・デイズとの出会いである。プレイヤーとして特別な結び付きを感じた2人は、のちにコンビ=ユセフ・カマールを結成。同ユニットは、2016年に初作『Black Focus』を、ジャイルス・ピーターソンが主宰するレーベル、ブラウンズウッドから発表。アシッド・ジャズの洒脱さを継承しつつ、同時代のビート・ミュージックや新世代ジャズとも共振したサウンドが高く評価された。

また、カマールのプロデューサーとしての手腕は、彼がエレクトロニック・ミュージックを制作するときの名義、ヘンリー・ウーの楽曲を聴けば明らかだ。ロウな手触りと優美な音色を併せ持つディープ・ハウスは気持ち良さ満点。2012年から現在にいたるまで、コンスタントに音源をリリースしていることからも、カマールにとっては常にモチヴェーションを高く保てているプロジェクトなのだろう。

ヘンリー・ウーの2015年のEP『Negotiate EP』収録曲“Don't Want The Regular”
 

ユセフ・カマールは2018年に惜しくも解散を発表したが、同年にカマール・ウィリアムズとしての初作『The Return』をリリース。彼の実家で数週間に渡って録音されたという本作は、アートワークも含めて『Black Focus』の続編とも言える内容だ。

同作でカマールは切れ味鋭いファンク・グルーヴやスピリチュアル・ジャズの深遠なるメロディー、さらにダウンビートやハウス・ミュージック的なプロダクションを巧みに溶け合わせ、コズミックなジャズを展開。70年代フュージョンとムーディーマンらデトロイト・ハウスを繋ぎ、UK特有のスマートな感覚でアップデートしていた。

サウンド・オブ・ケメットやマイシャら新世代のスターたちも現れ、さらにグライムの人気ラッパー、スウィンドルが新作『No More Normal』でシーンの重要プレイヤーを抜擢するなど、ますます活況を見せるUKジャズ・シーン。今回のカマール・ウィリアムズの公演は、その熱をダイレクトに感じられるチャンスだ。ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。

 


LIVE INFORMATION
カマール・ウィリアムス

2019年5月7日(火)Billboard Live OSAKA
1stステージ 開場17:30/開演18:30
2ndステージ 開場20:30/開演21:30
サービスエリア 6,500円/カジュアルエリア 5,500円(1ドリンク付き)
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2019年5月9日(木)Billboard Live TOKYO
1stステージ 開場17:30/開演18:30
2ndステージ 開場20:30/開演21:30
サービスエリア 6,500円/カジュアルエリア 5,500円(1ドリンク付き)
★詳細はこちら

■メンバー
カマール・ウィリアムズ(キーボード)
クイン・メイソン(サックス)
マーロン・スピアーズ(ベース)
グレッグ・ポール(ドラムス)