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第二部
第2部は19世紀イタリア・オペラの雄、ヴェルディ尽くし。幸田が「リゴレット」から“麗しい人の名は”で清純なジルダの一途な想いを打ち明け、ヌッツォも同作品からイタリアン・テノール屈指のカンツォーネ風アリア“女心の歌”で屈託なく応える。しかし我々は、この好色なマントヴァ公爵に弄ばれる彼女の哀しい運命を知っているのだ!
そしてついにここから、本公演のメイン・ディッシュともいうべきヴァルディ中期の傑作「椿姫」の物語に突入。先ず、第1幕の夜会の名場面である“乾杯の歌”ではヌッツォの晴れ晴れとした明るい歌声と、幸田の端正な美声との贅沢な共演を堪能。ハイライトである“不思議だわ!~ああ、きっと彼なのね~私はいつも自由で”もアルバムと同様に圧巻だった。
ピアノによる第3幕への前奏曲を挟んでのクライマックス。死の淵にあるヴィオレッタが生命の炎を燃やしつつ歌う“さようなら、過ぎ去った日々の美しく楽しい夢よ”は辛く、フィナーレの二重唱“パリを離れて”も明るい未来を夢見ている二人の姿が痛々しい。
けれども最後にステージに残るのは花。ドラマティックに人生を謳歌したヒロインたちの生き様を我々は決して忘れない。愛すべき彼女たちから沢山の勇気やエネルギーを貰った気がする。そんなことを考えさせられた本リサイタルであった。
LIVE INFORMATION
billboard classics festival 2019 in Nishinomiya
2019年9月7日(土)兵庫県立芸術文化センター
開演:16:00
出演:幸田浩子/福原美穂/NOKKO/八神純子/辛島美登里/村治佳織/ 尾崎裕哉(スペシャルゲスト)
各プレイガイドにてチケット発売中