ジョン・ケージが晩年と作曲家として国際的にも注目されていた30代後半のころに行った講演がならんだ翻訳書。執筆活動にも旺盛だったケージは講演原稿を含めたくさんの著作、テキストを残した。執筆にも作曲同様の手法を用い、その文体や本の体裁はとてもユニークで、実験的だった。そんなケージの言葉に触れることができる本といえば、対談集『小鳥たちのために』や初めて自身の音楽観をまとめた『サイレンス』といった名著がすでに翻訳されていた。時を隔てて二人のケージ自身が回顧的に自身の音楽を謎解くこの本は、最初に読むべきケージ本として先の二冊同様長く読まれるに違いない。