いつのまにか年末になっていた。今年もあと僅か、きっとアッと言う間に大晦日になって、気付けば年が明けて、一息ついたと思ったらすぐに普通に戻っていく。年末だからといって特に生活に変わり映えがあるわけじゃない僕にも、それは平等に訪れる少しだけ特別な何かだ。
年末らしく、ぼーっと考え事をしながら2019年を振り返っていた。とても大きな期待を持って年が明けて、大切な作品を世に出せた。新しいものと出会ったり、別れたり、最高だったり、最低だったり、目まぐるしく濃厚で、それでいて素敵な、忘れることのない1年だった。
そして、一番に聴いた音楽はi am robot and proud『The Electricity In Your House Wants To Sing』だった。移動中も、本を読むときも、考え事をしているときも、延々と聴いていた。
I AM ROBOT AND PROUD The Electricity In Your House Wants To Sing Darla(2006)
i am robot and proud を知ったのは、おそらく2年程前だろうか。エレクトロニカが好きな友人に教えてもらって、何となく聴くようになったことをよく覚えている。初めて聴いたとき、とても柔らかくて、心地のいい音だと思った。
なかでも“Save Your Neck, Save Your Brother”がお気に入りで、この曲ばかり聴いていた。そして、今年もこの曲を何度も何度も聴いた。
決してガツンとくるものではないかもしれないけれど、聴いているうちに胸にスッと溶けていくような甘さが、優しかったり、切なかったり、その日の心にそっと寄り添ってくれる。嬉しいときや、悲しいとき、その時々の気分によって聴こえ方が変わるとても不思議な音だ。
音楽的にみてもミニマルながらアプローチが多彩で、イージーリスニングすれば耳障りのいいBGMにもなるけれど、集中して聴けば、ハッとするアレンジに耳を奪われるような面白さに溢れている。ループの中で少しずつ曲の表情が変わっていって、気付けば引き込まれてしまう。
音の配置やバランスも絶妙で、低音の動きとビートの絡みに至っては感涙もの。後半に向かって徐々に身体に音が染み入ってきて、大きな多幸感を感じたり、無性に切なくなったり、シンプルなのに、他では変えの効かない味がする。
それでいて、何度聴いても味わい尽くせない奥深さに満ちているから、いつだって新鮮だ。
今年、本当に数え切れないくらいにこのアルバムを聴いた。疲れて横になった家のベッドで聴いて、明日に向かう力を貰ったり。東京に向かうバスのなかで聴いて、気付けば眠り込んでいたり。悔しい思いをした帰り道に聴いて、心を落ち着けたり。そうしているうちに、このアルバムは生活の、ひいては人生のBGMになっていった。それは、いつも側にあって、心をそっと肯定してくれるような、そんなものだ。
そういえば今年、来日公演があって、それを名古屋に見に行った。楽しみすぎてオープン前からお酒を飲みまくってしまい、後半は酔っ払ってあまり覚えていないという事案が発生したけれど、友達はすごく楽しそうだったと言っていたから、すごく楽しかったんだと思う。
もうあと少しで2019年が終わって、すぐに2020年がやってくる。年で区切るのも変な話だとは思うけれど、来年はもっと多くの喜びに触れたい。できれば無い方がいいけれど、悲しみにだって恐れず触れていきたい。そのときまた、このアルバムが耳元で流れたら、そんな1つ1つを大切にできるような気がしている。
RELEASE INFORMATION
恍惚に満ちたファルセットボイス
ダイナミックなアンサンブルで美しさを描く
退屈を撃ち抜く鮮やかなデビューアルバム完成!
EASTOKLAB
Debut Mini Album『EASTOKLAB』
2019.06.05(Wed)Release
UKDZ-0200 ¥1,700(w/o tax)
DAIZAWA RECORDS/UK.PROJECT inc.
1. Fireworks
2. In Boredom
3. Passage
4. Always
5. New Sunrise
6. Tumble
LIVE INFORMATION
polly “FLOWERS” Release Tour
2020年1月22日(水)京都 GROWLY
2020年1月23日(木)大阪・心斎橋 COMPASS
2020年1月24日(金)愛知・名古屋 APOLLO BASE
OTOEMON FESTA 2020
2020年3月19日(木)~22日(日)大阪・福島 LIVE SQUARE 2nd LINE