天野龍太郎「Mikiki編集部の田中と天野が海外シーンで発表された楽曲から必聴の5曲を紹介する週刊連載〈Pop Style Now〉。今年もよろしくお願いします! 年末には特別企画〈2019年ベスト・ソング20〉をお届けしましたので、未読の方はぜひご覧ください!」
田中亮太「2020年最初の〈PSN〉も特別企画です。題して〈2020年期待の洋楽アーティスト50!〉。今年の活躍に期待しているミュージシャン、僕たちが〈このひとには注目!〉と読者のみなさまに推す音楽家を50組取り上げました」
天野「〈50組も?〉と思われるかもしれませんが、〈50組じゃ足りない!〉くらいに思っています。それだけ、2020年も海外の音楽シーンはおもしろいことになる予感がしているんです。英米ヨーロッパはもちろん、南米やアフリカのアーティストも紹介していますので、幅広いガイドになったと思います」
田中「アーティストはジャンル別に分けてみました。まずは〈POP〉からです。また、記事末尾には取り上げたアーティストの楽曲をまとめたプレイリストもあるので、ぜひ聴いてみてくださいね!」
【目次】
1. POP:ジャスティン・ビーバーなど
2. ROCK:The 1975など
3. HIP HOP / RAP:メーガン・ザ・スタリオンなど
4. R&B / SOUL:セレステなど
5. ELECTRONIC:カリブーなど
6. REGGAETON / LATIN TRAP:パロマ・マミなど
7. AFROBEATS / AFRO POP:ドゥレモなど
8. REGGAE:コーフィーなど
9. JAZZ:ナーデイデイ
〈POP〉
Justin Bieber
天野「あのジャスティン・ビーバーが帰ってきた! 音楽活動をほぼ休止していたジャスティンが、年始に待望の新曲“Yummy”を発表。うれしいカムバックです。2020年はアルバムをリリースし、ドキュメンタリー・シリーズを制作、さらに全米ツアーも行うとのこと。複雑で気まぐれな彼のことだからどうなるかはわかりませんが、今年どんな活躍を見せてくれるのか、楽しみですね」
Rosalía
天野「スペインから現れた新星、ロザリア。個人的に、彼女は去年のMVPでした! フラメンコ・シンガー/ダンサーの彼女は『El Mal Querer』(2018年)で注目を集め、昨年レゲトン/ラテン・トラップ系の大ヒット・シングルを連発して一躍ポップスターに。年末もトラヴィス・スコットのコンピレーション『JACKBOYS』に客演するなど、2019年を通して話題の存在でした。今年は新作を発表するのでしょうか?」
Lana Del Rey
天野「絶賛の嵐だった傑作『Norman Fucking Rockwell!』が各メディアの年間ベスト上位を占め、2019年の顔だったラナ・デル・レイ。早くも今年、新作『White Hot Forever』をリリースするんだとか。イランと緊迫した情勢にある母国アメリカを彼女がどう見ているのか、それがどんなふうに作品に反映されるのか……。タイトルに〈白人の〉とも取れる言葉〈white〉が入っていることも気になります」
Normani
天野「リアリティーTV発の人気ガール・グループ、フィフス・ハーモニー。ノーマニは、そのメンバーです。グループが活動休止に入り、彼女は本格的にソロ活動を開始。アリアナ・グランデらが手掛けたシングル“Motivation”は昨年のベストに選びました! この勢いのまま、ソロ・アルバムを作ってほしい!」
Dua Lipa
田中「今年の前半にはセカンド・アルバムをリリースをするのでは……?と噂されているデュア・リパ。“Don't Start Now”“Future Nostalgia”と新作からの2曲はいずれも、この連載で〈Song Of The Week〉に選びました。超最高なポップ盤になっているであろうアルバムの到着が待ちきれませんね!」
Sky Ferreira
天野「歌手で女優のスカイ・フェレイラ。ゴスでダークな雰囲気が異彩を放つカリスマですね。最近もベックの新作『Hyperspace』に参加するなど、客演はしていたものの、ソロの音楽活動は停滞中。でも昨年、ダウナーで荘厳なシングル“Downhill Lullaby”で突如復活しました。2020年の活躍に期待!」
Georgia
田中「エレクトロ・ポップの新星、ジョージアは本日1月10日にセカンド・アルバム『Seeking Thrills』をリリースしました。ベルリンでのナイトクラブ体験がインスピレーション源になったという同作は、シカゴ・ハウスやジャーマン・テクノのワイルドなビートをキャッチーなポップソングに落とし込んでいます。実は、彼女は90年代UKエレクトロニック・ミュージック・シーンを代表するグループ、レフトフィールドのニール・バーンズの娘。血は争えないんですねえ」
〈ROCK〉
The 1975
天野「現在のUKロックを牽引するバンド、The 1975。昨年は〈サマソニ〉に出演しました。そんな彼らは、高い評価を得た前作『A Brief Inquiry Into Online Relationships』の続編となる新作『Notes On A Conditional Form』を2月21日(金)にリリース! パンキッシュな“People”にダブステップに挑んだ“Frail State Of Mind”と、シングルはいずれも最高なので期待大です」
Tame Impala
田中「もはや説明不要なオージー・サイケの皇帝、ケヴィン・パーカー率いるテーム・インパラは5年ぶりの新作『The Slow Rush』を2月14日(金)にリリースします。これまでに発表してきたリード・シングルを聴く限り、前作『Currents』(2015年)の路線を継承しつつ、より作り込まれた作品になっている予感。ディスコ/ハウスな“Patience”が収録されなさそうなのは残念ですが……」
Fontaines D.C.
天野「フォンテインズ・D.C.は、アイルランドのダブリンから登場した新進気鋭のポスト・パンク・バンドです。昨年デビュー作『Dogrel』を発表したばかりなのに、すでにLAでビーチ・ボーイズから影響を受けた新作を録り終えたんだとか。勝負のセカンド・アルバム、吉と出るか、凶と出るか……?」
HAIM
天野「LA出身のハイム3姉妹によるバンドは、昨年“Summer Girl”“Now I'm In It”“Hallelujah”というすばらしいシングルを発表しています。“Summer Girl”は2019年ベスト・ソングにも選びました! アルバムはリリース間近? ポール・トーマス・アンダーソン監督による3曲のミュージック・ビデオも必見です」
Bombay Bicycle Club
田中「UKアート・ロックの雄、ボンベイ・バイシクル・クラブが復活したのは、去年のうれしいニュースでしたね。“Eat, Sleep, Wake (Nothing But You)”を筆頭に、これまで発表してきた3曲がパワフルな仕上がりだっただけに、アルバムも期待できそう。約6年ぶりの新作『Everything Else Has Gone Wrong』は、1月17日(金)にリリースです!」
Angel Olsen
田中「12名のオーケストラによる演奏に加えて、エレクトロニクスもふんだんに取り入れていた昨年リリースのアルバム『All Mirrors』は、シネマティックな傑作でした。その一方、同作の楽曲は、当初レコーディングされていた弾き語りベースのフォーキーなアレンジで再発表されるという噂もあり」
Phoebe Bridgers
田中「2018年はジュリアン・ベイカーとルーシー・デイカスとのボーイジーニアス(Boysgenius)、2019年はコナン・オバーストとのベター・オブリヴィオン・コミュニティー・センター(Better Oblivion Community Center)と、この2年はソロ以外の活動が目立ったフィービー・ブリジャーズ。ですが、今年は彼女自身の新しい音源が届きそうな気もします。来日時に取材した際、新作は〈もっと実験的になると思う。シンセサイザーを使ったりして、いろいろと試しているところ〉と語っていました」
Matt Berninger
天野「そんなフィービー・ブリジャーズとのデュエット・ソング“Walking On A String”を発表したのがマット・バーニンガー。彼は、いまのアメリカにおいて最高峰と言っていいロック・バンド、ナショナルのフロントマン。初のソロ作『Serpentine Prison』はなんと、サザン・ソウルを代表する伝説的オルガニストのブッカー・T・ジョーンズがプロデュース! バンドよりもルーツ/アメリカーナ志向の作品になっていそう。3月17日(火)、18日(水)にはナショナルとフィービーの来日公演があるので、みんなで行きましょう!」
Best Coast
田中「カリフォルニアの陽光と海岸をメランコリックなギター・サウンドで映し出すデュオ、ベスト・コースト。彼らは、オリジナル・アルバムとしては5年ぶりとなる新作『Always Tomorrow』のリリースを控えています。日取りはまだ発表されていませんが、ヨット・ロック化したリード楽曲“For The First Time”がバッチリだったので、めちゃくちゃ楽しみにしていますよ!」
Destroyer
田中「カナダのヴェテラン、ダン・ベイハー(Dan Bejar)率いるデストロイヤーは1月31日(金)に新作『Have We Met』をリリース。通算13作目にして、メロウで気取ったインディーAOR的なサウンドは変わらず……だとは思うんですが、リード・シングルを聴く限り、エレクトロニクスの要素が強まり、攻めの姿勢を見せたアルバムになっているのでは。超名盤『Kaputt』(2011年)をアップデートしたような趣もあり、なんだか期待できそうです」
Poliça
田中「ポリサはミネアポリス出身のシンセ・ポップ・バンド。実験的なサウンドが高く評価されていて、ボン・イヴェールのジャスティン・ヴァ―ノンが絶賛したことでも有名ですね。オーケストラ・グループとコラボをするなど、アカデミックな印象も強いグループなんですが、1月31日に発表する新作『When We Stay Alive』はボーイズ・ノイズが共同プロデュースを務めており、バンドにとっての意欲作になっていそう」
Black Country, New Road
田中「ロンドンを拠点に活動するブラック・カントリー, ニュー・ロードは、いま〈PSN〉がもっとも注目しているロック・バンド! ポスト・ロックやフリー・ジャズの要素を取り入れた演奏はブラック・ミディとの共鳴を感じさせつつも、この7人組はよりラフでパンキッシュな印象。ときにストリーツことマイク・スキナーを、ときにキング・クルールことアーチー・イヴァン・マーシャルが頭をよぎるダルなヴォーカルには強烈に魅せられてしまいます!」
girl in red
天野「昨年〈PSN〉で取り上げられなかったことを悔やんでいるのが、このガール・イン・レッドです。ノルウェーのベッドルーム・ポップ作家で、高橋芳朗さんも推している注目の新人。EP『chapter 2』(2019年)に収められているのは“i'll die anyway”“bad idea!”など、キラー・チューンばかり。ダークで繊細、かつダイナミックな彼女の曲にめちゃくちゃ惹かれています」
Sorry
田中「ロンドン発、アーシャ・ローレンス(Asha Lorenz)とルイス・オブライエン(Louis O'Bryen)の男女2人が中心となっているソーリーは、気怠さと不機嫌さがない交ぜになったかのようなロックを鳴らしています。去年のクリスマスには、代表曲“Starstruck”と“Jealous Guy”をカップリングした7インチ・シングルをBIG LOVEから出しましたね。今春に初のアルバム『925』をリリース予定。彼らがめちゃくちゃ売れたら、天野くんがビールを奢ってくれるらしいので、期待しています」
Easy Life
田中「レスター出身の5人組、イージー・ライフは新作ミックステープ『Junk Food』を本日1月10日にリリース。歌心に溢れたラップ・ヴォーカルと、現行ソウルに接近したメロウなサウンドは、クコ(Cuco)などベッドルーム・ポップを好きなリスナーも虜にするのでは。フロントマン、マレー・マトラヴァーズ(Murray Matravers)のチャーミングなアイコン性も含めて、ポスト・レックス・オレンジ・カウンティの筆頭株?」
Sports Team
田中「粗野で色気に溢れた若者たちによる、フックたっぷりのメロディーとご機嫌なビート。ロンドン出身のスポーツ・チームは、古くはマージ―・ビートに始まり、ブリット・ポップや2000年代ガレージ・リヴァイヴァルに至るまでの、ブリティッシュ・ロックの正当な後継者と言えそう。すでに数えきれないほどの名曲を世に送り出してきた彼らの、超待望のファースト・アルバムは4月にリリース予定」
HMLTD
田中「個性豊かなニューカマーがいよいよ揃いつつあるUKインディー・シーンで、もっともアクの強いぶっとんだバンドと言えば、ロンドンのHMLTD(〈Happy Meal Ltd.〉の略)。けばけばしいメイクや猥雑な出で立ちに引けを取らないストレンジでワイルドな楽曲は、不条理な悪夢の中にいるような聴き心地です。デビュー・アルバム『West Of Eden』は2月5日(水)に日本先行リリース!」
Dogleg
田中「アンセミックなパンク・ソング“Fox”で僕たち2人の心を奪ったドッグレッグ。ミシガン出身の4人組もまた、今年の動きが楽しみなバンドです! アルバム『Melee』をリリースすることは発表されていますが、詳細は不明。“Fox”の猛烈なテンションを落とすことなく一枚作ってほしいところです。そして、来日もしてほしい!」
The Orielles
田中「イギリス北部の街、ハリファクス出身のオリエルズは、スペーシーでグルーヴィーな演奏が特徴のバンド。ペギー・グー“It Makes You Forget (Itgehane)”のカヴァーも収録した2018年のシングル“Bobbi's Second World”以降は、よりダンサブルな方向性に突き進んでいる印象です。今週リリースされたばかりの“Space Samba (Disco Volador Theme)”なんて、まるでクルアンビンとステレオラブがセッションしているみたい!」
Frances Quinlan
田中「泣きのエモ・サウンドで熱い支持を得るホップ・アロングのフロントウーマン、フランシス・クインラン。彼女は1月31日に初のソロ・アルバム『Likewise』をリリースします。シンセサイザーやストリングスなどを積極的に使ったサウンドは、バンドよりもポップで軽やか。彼女のコケティッシュな魅力が開花した作品になっていそうです!」
Beabadoobee
田中「マニラ生まれ、ロンドン育ちのシンガー・ソングライター、べアバッドゥービー。気怠い歌声とファズ・ギターを重ねたグランジ―なサウンドはもちろん、〈スティーヴン・マルクマスになれたら〉なんて曲名を付けるセンスは日本のリスナーに刺さりそう(笑)。なお彼女がいま所属しているレーベルは、The 1975が在籍するダーティ・ヒット。The 1975の新作にも参加しているらしいですし、ドカンとブレイクしそうですね!」
〈HIP HOP / RAP〉
Megan Thee Stallion
天野「昨年デビュー・ミックステープ『Fever』で一気に注目を浴びたメーガン・ザ・スタリオン。彼女はテキサス出身のラッパーです。とにかくパワフルで、ドジャ・キャット(Doja Cat)などとともに去年、注目していたヒップホップ・ファンも多いのでは? ニッキー・ミナージュとの“Hot Girl Summer”やダベイビーとの“Cash Shit”など、かっこいい曲をたくさん出した彼女は今年も活躍するはず!」
Lil Uzi Vert
天野「リル・ウージー・ヴァートは、“XO Tour Lif3”(2017年)のヒットで知られるフィラデルフィア出身のラッパー。レーベルとのトラブルで新作を発表できなかったようですが、ロック・ネイションとの契約で解決に向かっているんだとか。新作『Eternal Atake』は、今年ようやくリリースされる!? シングルを聴く限りでは、挑戦的でへんてこな作品になっていそう……」
Kanye West
天野「キリスト教とゴスペルに傾倒し、〈世俗的な音楽はもう作らない〉とまで言い放ったカニエ・ウェスト。2020年も目が離せない存在です。クリスマスに〈Sunday Service Choir〉によるガチなゴスペル・アルバム『Jesus Is Born』を発表したほか、賛否両論のオペラもアメリカで上演しています。彼が次に何をやるのか、誰にもわかりません」
Cardi B
天野「昨年のシングル“Press”以来、ソロの新曲を発表していないラッパーのカーディ・B。セカンド・アルバム『Tiger Woods』を制作中で、今年リリースされる予定です。最近は映画『ハスラーズ』に出演したり、Netflixのラップ・オーディション『リズム+フロー』で審査員を務めたり、音楽以外の活動が目立っていますね。夫のオフセット(ミーゴス)と仲良くやっているのかも気になりますが、とにかく新作に期待しています。ちなみに、ジェニファー・ロペスとリゾ(Lizzo)も出演する『ハスラーズ』の日本公開は2月7日(金)!」
Fivio Foreign
天野「ファイヴィオ・フォーリンはブルックリンのラッパーです。UKドリルから多大な影響を受けているブルックリン・ドリル・シーンには、ポップ・スモーク(Pop Smoke)やシェフ・G(Sheff G)、22Gzなどの新しい才能がひしめいていて、彼もその一人。EP『Pain And Love』(2019年)からはシングル“Big Drip”がヒット。アルバムのリリースが待たれます」
Don Toliver
天野「トラヴィス・スコット(Travis Scott)のレーベル、カクタス・ジャック・レコーズ(Cactus Jack Records)のメンバーによるコンピレーションして、新たなグループのセルフ・タイトルド・アルバム『JACKBOYS』。年末の話題をかっさらっていましたね。トラヴィスとシェック・ウェス(Sheck Wes)とともにジャックボーイズを構成するのが、このドン・トリヴァーです。シェックは2018年に“Mo Bamba”を大ヒットさせているので、今年はドン・トリヴァーの活躍に期待しています」
070 Shake
天野「070シェイクはカニエ・ウェストからフックアップされたニュージャージーのシンガー/ラッパーで、ヒップホップ・コレクティヴ〈070〉の一員。エモ・ラップ以降のスタイル、そしてジャンル横断的な混沌としたサウンドが特徴で、めちゃくちゃ気になる存在です。待望のデビュー・アルバム『Modus Vivendi』は1月17日にリリース。要注目でしょう!」
〈R&B / SOUL〉
Celeste
田中「少ししゃがれた声のソウルフルな歌唱からエイミー・ワインハウスやビリー・ホリデイと比較されているセレステ。すでに今年の〈ブリット・アワード〉では、期待の新人代表としてパフォーマンスすることが決定しており、本国UKではブレイク待ったなし!といった状況みたいです。ブリティッシュ・ソウルの女神として新しい10年を昇っていくのでしょうか」
Moses Sumney
天野「〈R&B〉に括るのは違和感がありますが……。LAのSSW、モーゼズ・サムニーはデビュー作『Aromanticism』(2017年)で、その繊細な歌唱と音世界が高く評価されました。彼は今年、待望の新作『græ』を2部構成でリリース予定。ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーことダニエル・ロパティンが参加したシングル“Me In 20 Years”や勢いに満ちた“Virlile”を聴くと、〈新作、とんでもない傑作では?〉と感じます」
Khruangbin & Leon Bridges
天野「クルアンビンは来日公演や〈フジロック〉でのパフォーマンスが話題になった、日本でも人気が爆発中のエキゾチックなインスト・トリオ。一方のリオン・ブリッジズは、ブルージーな歌声を持つ正統派のソウル・シンガー。そんな2組がコラボEP『Texas Sun』を出す、と聞いたときはびっくりしました。でも、これがなんともマッチしているんだから、おもしろいですよね。ライブも観たい!」
Miraa May
田中「昨年、UKガラージを取り入れた“Angles”がヒットしたミラー・メイ。彼女はアルジェリア出身で、幼少期にイギリスに移住し、トッテナムで育ったそうです。現代的なポップやR&B、ヒップホップのなかに、アルジェリアのライ・ミュージックを自然に混ぜ合わせる彼女は、マルチカルチュラルというUK音楽の魅力を体現しているのでは」
〈ELECTRONIC〉
Caribou
天野「マニトバ(Manitoba)として2000年代初頭に登場し、ダフニ(Daphni)名義でも作品を発表しているプロデューサーのダン・スナイス(Dan Snaith)。彼のいちばん知られているプロジェクトがカリブーですよね。今年、6年ぶりのアルバム『Suddenly』をリリースするというのだから、ファンとしては超うれしい! 楽しげなブレイクビーツの“Home”、トラップを取り込んだ“You And I”と、シングルはいずれも最高。ダンス・ミュージックからちょっと離れて、スナイスがつぶやくように歌っているポップさが新鮮」
The Avalanches
田中「2016年に再始動したアヴァランチーズは、すでにサード・アルバムの録音を終えているという噂。去年の9月、彼らのInstagramに〈Mixing L.P 3〉というキャプションが付けられた投稿がされていました。現在は削除されていますが、当初はジェイペグマフィア(JPEGMAFIA)やダーニ・ハリスン、Corneliusといったアーティストがタグ付けされていて、彼らがゲスト参加しているのでは……?と予想されていますね」
Mura Masa
天野「イギリス海峡のチャンネル諸島に位置するガーンジー島出身のプロデューサー/DJ、ムラ・マサ。日本でも大人気ですよね。スロウタイとの“Deal Wiv It”や“No Hope Generation”といったシングルでは、ダンス・ミュージックからポスト・パンクにサウンドが変化していてびっくり。1月31日のニュー・アルバム『R.Y.C』が超楽しみ!」
Shygirl
田中「ロンドンが拠点のシャイガールは、同地の地下エレクトロニック音楽シーンにおける新興レーベル、NUXXEの運営に携わるアーティスト。上掲の“BB”は同じくNUXXE所属のセガ・ボデガ(Sega Bodega)がプロデュースしています。ベース・ミュージックに根ざしたサウンドと乾いたヴォーカルがかっこいい。ポップと呼ぶには尖った立ち位置の人ですが、ソフィーみたいな存在に化ける予感も」
〈REGGAETON / LATIN TRAP〉
Paloma Mami
天野「パロマ・マミは2020年一押しのアーティストです! 彼女はNY生まれで、いま情勢が不安定なチリ育ちのシンガー。シングル“No Te Enamores”(2018年)はYouTubeで1億回以上再生されているなど、すでにレゲトン/ラテン・ポップのシーンでは超人気者。ソニーと契約したので、アルバムも制作しているのではないかと思います。要注目!」
Cauty
天野「僕は2018年からレゲトン/ラテン・トラップにハマっています。その流れで知ったコーティは、プエルトリコのレゲトン・シンガー。最新シングルは〈トラ、トラ、トラ〉と繰り返すフレーズが中毒性の高い“TRA”。アルバムをまだ発表していないので、これからが楽しみです。このシーンにはマイク・タワーズ(Myke Towers)、カロル・G(Karol G)、ニオ・ガルシア(Nio García)、カスペル・マヒコ(Casper Magico)など、気になるシンガーがたくさんいますね」
〈AFROBEATS / AFRO POP〉
Dremo
天野「ドレモはナイジェリアのアフロビーツ/トラップ・ラッパーです。同郷のダヴィド(Davido)の新作『A Good Time』(2019年)に参加していて気になったアーティスト。彼の最新シングル“Chairman”は、アフロ性とアーバンな感覚が絶妙なバランスで最高! このシーンはシングルを連発しがちなのですが、ドレモにはファースト・アルバムを作ってほしいですね」
Mayorkun
天野「マヨークンもナイジェリアのアフロビーツ・シンガー。ちなみに〈マヨー〉の部分は本名で、アニメの『NARUTO』で知った日本語の〈君(くん)〉をそこに付けたんだとか(笑)。まずは洗練された最新シングル“Up To Something”を聴いてください。今年は『The Mayor Of Lagos』(2018年)に続くセカンド・アルバムのリリースに期待しています。ダヴィド周辺のアーティストでは、ペルッジ(Peruzzi)とヨンダ(Yonda)にも注目!」
〈REGGAE〉
Koffee
天野「ジャマイカのスパニッシュ・タウン出身、弱冠19歳のレゲエ・シンガーであるコーフィー。デビューEP『Rapture』がグラミー賞にノミネートされるなど、昨年のレゲエを代表する存在でした。アトランタのラッパー、ガンナとのシングル“W”でポップのど真ん中に躍り出た印象です! 今年も目が離せません」
Mortimer
天野「モーティマーは、昨年11月にEP『Fight The Fight』でデビューした王道レゲエの新人歌手です。彼のことは、『ミュージック・マガジン』で鈴木孝弥さんが紹介していて知りました。重要プロデューサー、フィリップ・ウィンター・ジェイムズ(Phillip “Winta” James)の秘蔵っ子で、アーバンなサウンドを志向するコーフィーとは真逆の、オーセンティックなレゲエをこれから牽引していきそうな若手ですね」
〈JAZZ〉
Nardeydey
田中「ナーデイデイことシャーリー・テテ(Shirley Tetteh)は、ロンドン拠点のシンガー/ギタリストです。彼女は、去年〈PSN〉でも紹介したUKジャズ・コレクティヴ、ネリヤのメンバー。ソロ作では、トリッキーなギターの演奏を軸に、複雑に入り組みながらも人懐っこいポップさを持ったサウンドを鳴らしていて、非凡な才がみなぎっていますね。活況を見せるUKジャズ、今年も目が離せません!」
