インタビュー

西山瞳がいま考えていること――ピアノ・ソロ作『Vibrant』と、アーティストやライブハウスを取り巻く状況

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『Vibrant』全曲解説

――それぞれの曲の解説や曲名に込められた意味があれば教えてください。

「私の場合、曲名は曲が出来てから最後につけるので、そこのメッセージや何かは特にありません。曲を聴いてもらう補助線としてのワードが、曲名です。一応、曲の簡単な解説を下記に載せておきます。

1.“Empathy エンパシー”

新曲、このレコーディング前に即興的に作ったもの。

2.“Vibrant ヴァイブラント”

2019年『The Tree Of Life』収録曲を再録。2016年作曲当初から、この曲はピエラヌンツィを踏まえながらも自分らしく書けたと思い、機会があればソロで録音したいと思っていました。

3.“Recollection リコレクション”

ピエラヌンツィのコピーばかりしていた22歳の時(2002年)に作曲した曲。

4.“Until The Quiet Comes アンティル・ザ・クワイエット・カムズ”

横浜のジャズ・クラブ、上町63で、ソプラノ・サックスの塩谷博之さんと演奏していた曲。

5.“To The North トゥ・ザ・ノース”

2019年頭に書いており、ほぼアイデア一発を書き留めただけのもので、アドリブは特に計画もしていませんでした。2019年7月に小田朋美さんと2台のピアノで演奏機会があり、その時に全体をまとめました。

6.“Hand In Hand ハンド・イン・ハンド”

2010年1月にファツィオリのショールームでF308(最大級のコンサートグランドピアノ)を使ったコンサートをし、事前に練習に行った時に同楽器を使用して1時間ほどで書いた曲。

7.“Behind The Door ビハインド・ザ・ドア”

2015年作曲。ソロのために書いていた曲。

8.“Snow Train スノー・トレイン”

2018年、ギター市野元彦さんとデュオの前に、自由度の高い曲を書こうと思って書いた曲。

9.“I'm Missing You”

2004年自主制作盤『I'm Missing You』のタイトル曲を再録。この自主盤はもう廃盤になっていますが、再発する気はなく、できれば収録曲は再録したいと前から考えていて、今回はこの曲を再録しました。オリジナル曲を書き始めてから、初めて自分らしく書けたと思った曲でした」

――作曲時期はバラバラですが、オリジナル曲が集まった結果『Vibrant』はどんなアルバムになりましたか?

「家で弾いているみたいな内容になったと思います。静かで、外向きではなく、人に見られることを前提として弾くというよりは、自分に向けて弾いている感じ」

――もうひとつ、漠然とした質問になってしまいますが、西山さんにとってジャズ・トリオとピアノ・ソロの違いはどういうものですか?

「それは全てのジャズ・ミュージシャンにとって、全く違うものです。ジャズは基本的にコミュニケーションの音楽で、人と演奏することで音楽も自分自身も育っていきます。〈相手がこんな面白い話を降ってくれたから、自分も面白く返答ができた〉〈相手がちゃんと自分の話を聞いてくれているから、思う存分話せた〉など、他者によって自分は演奏させられている状態です。

どんな楽器でもソロが一番難しいのは、他者からの刺激も提案も相槌もないので、全部一人で話を進めないといけないから。自分に無いものは出ません。もし挫ける瞬間があっても、共演者が助けてくれないので、自分自身で回復しなければいけません。身の丈以上のことは出ないのが、ソロです」

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