ジャズピアニストにしてメタラーの西山瞳さんによるメタル連載〈西山瞳の鋼鉄のジャズ女〉。今回のテーマはオジー・オズボーンです。ブラック・サバスのオリジナルメンバーが集結してライブをおこなうイベント〈Back To The Beginning〉が今夏開催され、オジーはその公演を生涯最後のライブにすると宣言しています。有終の美を飾るラストコンサートに向け、西山さんがオジーへの思いを綴りました。 *Mikiki編集部
2025年7月にバーミンガムのヴィラ・パークで開催される、ブラック・サバス最後のコンサート〈Back To The Beginning〉、どなたか日本から行く方、いらっしゃいますか……?
ヘヴィメタルの始祖にして帝王、オジー・オズボーンの、おそらく最後のコンサートになるであろうこのコンサートは、誰もが驚くラインナップ。
メタリカ、パンテラ、スレイヤー、ゴジラ、ヘイルストーム、アリス・イン・チェインズ、ラム・オブ・ゴッド、アンスラックス、マストドン……。
その他、下の段も見ると、ビッグネームのアーティストがずらりと並び、目を疑うラインナップで、誰かが空想した〈俺の考えた最強のフェス〉のような、そんな並びです。これは大事件だ。
他のフェスだとありえない集合を見せられて、〈これがオジーとサバス、メタルの始祖の力か……!〉と、改めてオジーとサバスの存在の大きさを感じました。もうこれは、アベンジャーズ・アッセンブルじゃないですか。
この数々のバンドがリスペクトを持って集合したことを考えると、それだけで胸が熱くなります。ヘヴィメタルの帝王の引退は、こうも美しいものでしょうか。
オジー・オズボーン、その名はヘヴィメタルを聴いたことのない人にも知れ渡っているでしょう。ブラック・サバスのボーカルとして登場し、ヘヴィメタルの始祖として、また、ヘヴィメタルの象徴として存在してきました。メタルファン以外からは、コウモリを食いちぎった話など奇矯な伝説の方が取り沙汰されますが、まずはこちらを見て下さい。
圧倒的スターの存在感。オジーのパフォーマンスはYouTubeに沢山あるのですが、こういうのを見ると、当時ライブで見てみたかったなあと思います。このスター性、ステージ支配力、人懐っこさ、スクリーンに映し出された時の画の強さ。
こちらは2022年9月のパフォーマンス。この動画の“Crazy Train”の始まった時の歓声、パソコンのモニター上で見ている私も、歓声に胸が熱くなる!
最近のニュースとしては、今年2月にビリー・モリソンとのシングル“Gods Of Rock N Roll”が発表されたのですが、とても感動的な曲でした。
一節一節を大事に、語りかけるように歌うオジー。ダイレクトに飛び込んでくる、ロックンロールの神様を求める祈りの歌詞は、映画のエンドロールのようで、〈えっ、ちょっと、なんか淋しいんだけど……〉と、いよいよ引退なのかと実感しました。