《リンカーンの肖像》は、格調の高い英語原稿の語りとオーケストラが共演する15分ほどの美しい作品。真珠湾攻撃をきっかけにコープランドが国威発揚のため作曲し、1942年に完成した。アメリカでは政治家、俳優、詩人などが語りを務め折々の話題を集める有名曲である。作曲家の自作自演盤は1968年、名優ヘンリー・フォンダの語りにより収録されたが、その語り部分が今回石丸幹二の日本語朗読に差し替えられた。〈言葉〉と背景の〈音楽〉が意味深く重なる醍醐味が、石丸の美声による日本語で直に伝わり、作品の感動が強く身に迫る。胸のすくようなリズムと色彩、愉悦に満ちたコープランドの名作を集めた選曲も良い。