2015年にベルリン・フィルと世界初演、ロンドン響との来日はこれで最後というニュースでも話題となる、2022年の日本公演でも取り上げた〈コールス校訂版〉を用いての第7番世界初録音ライヴ(日本公演を挟むスケジュールだったことにも注目したい)。〈コールス校訂版〉を支援するラトルだけに、実際の演奏意義にはコールスとの綿密な共同作業という側面も感じられる(“第4”は好例)。2024年の生誕200年を通過点としつつ、新たな原典版全集刊行が進んでいる中でのブルックナー演奏として極めてヴィヴィッドな成果だ。非常に明晰でクリアな造型、輝かしい豊かな起伏を隆起させながら充実を極めた眉目秀麗のブルックナー!