第2楽章中盤の打楽器の連打に開始される血の日曜日の描写が強調され、荒っぽい演奏に傾きがちな作品を第1楽章や弱音部分を大変丁寧に緻密に仕上げた名演。高貴なサウンドで完璧な性能を誇るロンドン交響楽団がそれを維持しつつ、音楽に没入する。例えれば冷静と情熱の間をギリギリの線で行く血の通った演奏を繰り広げている。ノセダのショスタコーヴィチシリーズの中でも突出した出来栄えだ。そして強調したいのがLSOレーベルの音質。久しぶりにオーケストラ録音で往年のDecca録音のような生々しく生気を耳にできる素晴らしさだ。CD層でも充分に堪能できるのでお薦めしたい。