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インタビュー

ステレオガールは一体化を拒み、自由をめざす。〈好きに踊りたいだけ〉な5人が『Pink Fog』で歌うもの

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UKロックからマス・ロック、エレクトロニカ――5人の多彩な音楽的背景

――ローゼズやオアシスは、メンバー全員に共通した音楽的なルーツなんですか?

Chamicot「いや、ぜんぜんそうじゃなくて(笑)。みんなバラバラ」

――Chamicotさんは先ほどUKロックに影響を受けたと話してくれましたけど、ほかの4人はどんな音楽を聴いてきたんですか?

Anju「私はなんだろ……もともと私がChamicotにオアシスのCDを貸したみたいなところもあって(笑)。でも、私の趣味はどちらかと言えばUS寄りなんです。小学校のときにストロークスを聴いて、〈バンドってカッコいいな〉と思ったのがきっかけ。ストロークスはもちろん、ヴェルヴェッツやペイヴメント、ジーザス&メリーチェインなんかにもすごく影響を受けていると思う。ヴィジュアルの面でも」

――確かにAnjuさんのステージの佇まいは、名前を挙げてくれたバンドの雰囲気がありますよね。ちょっとやさぐれ感があって。

Anju「ふてくされた人間なので(笑)」

――リード・ギターのKanakoさんは?

Kanako「ギターをはじめたきっかけはポルノグラフィティだったんですけど、いまはマス・ロックにハマっています。ポルノグラフィティからいろいろバンドを聴いて、〈私はマス・ロックが好きだ〉とたどりついた(笑)。なかでもハイスイノナサがずっと好きですね。ほかのメンバーとは趣味がぜんぜん違うんですよね」

Kanako
 

――なるほど。Kanakoさんはすごくテクニカルなギターを弾く印象ですけど、マス・ロックからの影響もあったんですね。

Kanako「マス・ロックは何回聴いても発見があるから、繰り返し聴けるんです。どこをとってもおもしろいフレーズがあるし、ギターのソロやリフを考えるときもすごく参考にしていますね」

――KanakoさんとChamicotさんによるツイン・ギターのアンサンブルがすごく気持ちいですよね。キャラクターの違いもはっきりしていて。

Chamicot「バンドを組んだ当時から、Kanakoはキーボードも弾けたので、彼女がメロディアスなフレーズを弾いて、私はコードをやるという仕分けはされていたんです。そのうち聴いている音楽が音にも反映されていって、私は徐々にジャーンというUKっぽい音になり、Kanakoはマス・ロックっぽい音になっていきました」

――ベースのRikuさんはどうですか?

Riku(ベース)「僕は音楽のめざめが70年代のハード・ロックなんです。それからthe pillowsを好きになって、いろいろな音楽を聴くようになった。the pillowsの人たちっていろいろなところからネタを引っ張ってきているじゃないですか? 彼らのインタビューを読んで、いろいろ掘り下げていって、ダイナソーJrやストロークスを知りました。僕はこのバンドに途中から入ったんですけど、それから洋楽が好きなChamicotとAnjuに影響を受けて、さらに深く聴くようになって」

Anju「ステレオガールの爆音ベースは彼のUSオルタナ趣味からきています」

Riku
 

――最後にドラムのYukaさんは?

Yuka(ドラムス)「私はバンドをまったく聴かないんです(笑)。いちばん最初に好きになったアーティストはKOKIAさんだし、いまはエレクトロニックなものばっかりを聴いていて。特に電子音と環境音を混ぜているような人が好きなんですよ。haruka nakamuraさんとか」

――へぇ! そういうエレクトロニック・ミュージックへの関心は、Yukaさんのドラム・プレイにも活きているんでしょうか?

Anju「それはあるかも。高校で彼女をバンドに勧誘したのは私なんですけど、ほかのまわりにいたドラマーは、高校生だしみんな目立ちたいからか、すっごく強くドラムを叩くんですよ。親の仇かのように(笑)。でも、彼女だけはぜんぜんエゴがないっていうか、淡々とスネアを叩いていて、痛くなりそうなところでも角がなかった。そこが私はすごく好きだったんです。そのいいところが残るようなバンドでいたいとは思っていますね」

Yuka
 

――実際、この『Pink Fog』でもYukaさんのドラムはすごく活躍しています。しっかり〈踊れる〉ロックになっているんですよね。

Anju「そうなんですよ。やっぱ彼女はダンス・ミュージックとかを聴いているからか、必要以上に感情がドラムに乗っかっていないのがいいんじゃないかな」

――いまメンバーから名前が出てきたバンドは90年代やそれ以前に活動していた人たちが多いですけど、ステレオガールは決してその焼き直しにはなっていませんよね。

Anju「自分たちが憧れているバンドみたいになれたらいいなと思っていた時期もあるんですけど、好きだからって昔の人たちと同じことをするっていうのは、まったくおもしろいことじゃない。ヴェルヴェッツが好きでもオアシスが好きでもローゼズが好きでも、その人たちを真似することが別に〈好き〉の表し方じゃないと思うんです。懐古主義になっちゃうのは、私は好きじゃないですね」

2018年のEP『ベイビー、ぼくらはL.S.D.』収録曲“GIMME RADIO”。『Pink Fog』には再録されて収録
 
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