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01. Etcetera  by STEAM DOWN feat. AFRONAUT ZU


ここからはDisc-2。ウェイン・ショーターの80年作『Et Cetera』(録音は65年)に収録されたオリジナルをモダンなビート・ミュージックに解釈するのは、ジャズやアフロビートのクロスオーヴァーするパーティー〈Buster Mantis〉をロンドンで主催するスティーム・ダウン。カマシ・ワシントンやヌバイア・ガルシア、サンパ・ザ・グレートらとのコラボを行っている。マイクを握るアフロノート・ズーはルディメンタルが今年発表した“Krazy”でもお馴染み。

 

02. Montara  by BLUE-LAB BEATS


ボビー・ハッチャーソンの『Montara』(75年)に収録された涼やかなオリジナルはサンプリング方面でも人気の曲で、日本ではスチャダラパー“サマージャム'95”の元ネタとしてお馴染みか。そんな原曲のグッド・ヴァイブを損なうことなく爽快なメロウ・ビーツに仕立てたのは、クワメ(D・インフルエンス)の息子としても知られるブルー・ラブ・ビーツ。2018年の『Xover』(Blue Adventure/Allpoints)以降もジャズ人脈との絆を深めつつ好曲を発表している。

 

03. I'll Never Stop Loving You  by YAZMIN LACEY


オリジナルは今回のコンピでもっとも過去の曲にあたる、ドド・グリーンの62年作『My Hour Of Need』に収録されていたオーセンティックなヴォーカル・ナンバー。それをソウルフルな歌唱で再生するのはノッティンガムを拠点に活動するネオ・ソウル系のシンガーで、ブラウンズウッドのコンピ企画でもたびたびピックされてきたヤズミン・レイシーだ。今年に入って自主リリースしたEP『Morning Matters』(Own Your Own)も聴きモノ!

 

04. Armageddon  by FIEH


昨年デッカから初のアルバム『Cold Water Burning Skin』(Decca)を発表したばかりのフィアは、ヴォーカルのソフィー・トレフスボルを中心にノルウェーのオスロで活動するバンド。地元ではミューチュアル・インテンションズとの繋がりもありつつ、近年のアトモスフェリックなネオ・ソウル志向によって国外へも進出することに成功した。オリジナルはまたまたウェイン・ショーターで、こちらは64年作『Night Dreamer』に収録されていた楽曲となる。

 

05. Maiden Voyage  by MR. JUKES


オリジナルはもちろんハービー・ハンコックの65年作『Maiden Voyage』に収録された超スタンダード。ここで雄大なスケールのカヴァーをドラマティックに披露するのはボンベイ・バイシクル・クラブのフロントマン=ジャック・ステッドマンによるソロ・プロジェクトのミスター・デュークス。日本のジャズ喫茶からも着想を得たという2017年のデビュー作『God First』(Island)は、レイラ・ハサウェイらも交えての快作だった。

 

06. Prints Tie  by SHABAKA HUTCHINGS


現代UKジャズの勢いを象徴するキーマンのひとりで、サンズ・オブ・ケメットやコメット・イズ・カミングでも活躍するサックス奏者のシャバカ・ハッチングス。今年はシャバカ&ジ・アンセスターズで『We Are Sent Here By History』(Impulse!)も発表している俊才が今回カヴァーに挑んだのはボビー・ハッチャーソンだ。グルーヴィーなオリジナルはボビーとハロルド・ランドが組んだクラブ目線での人気盤『San Francisco』(71年)に収録されている。

 

07. Caribbean Fire Dance  by MELT YOURSELF DOWN


またまたジョー・ヘンダーソンの66年作『Mode For Joe』収録の一曲。取り組んだメルト・ユアセルフ・ダウンは、ロンドンでアコースティック・レディランドを率いたピート・ウェアハムが結成したユニットで、当初はシャバカ・ハッチングスも参加していた。ジャズとファンクにロック要素も盛り込んでコンスタントに作品を発表し、今年に入って大御所ベン・ヒリアーのプロデュースによるデッカ移籍作『100% Yes』(Decca)もリリースしたばかりだ。

 

08. Speak No Evil (Night Dreamer)  by EMMA-JEAN THACKRAY


またまた人気のウェイン・ショーター。こちらのオリジナルは、66年作『Speak No Evil』と64年作『Night Dreamer』、それぞれの表題曲となる。ブロークン・ビーツも交えたハウシーな解釈で気持ち良く聴かせるのは、ヨークシャー地方で育ったマルチ奏者のエマ・ジーン・サックレイ。スキニー・ペレンベやエズラ・コレクティヴらとの共演も経験し、今年に入ってからは自身のレーベルからEP『Rain Dance』(Movementt)をリリースしたばかりの有望株だ。

 

09. Think Twice  by Kan Sano


こちらは日本盤のみのボーナス・トラック! オリジナルはドナルド・バードの75年作『Stepping Into Tomorrow』に収録されていた定番曲で、ATCQやメイン・ソース、J・ディラらのリサイクルで知られ、最近ではHAIIRO DE ROSSIのリメイクも記憶に新しい人気のナンバーだ。今回カヴァーを披露するのは昨年のアルバム『Ghost Notes』(origami)以降にさらにポピュラーな存在となったKan Sanoで、流石の心地良い仕上がりとなっている。