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超未来で鳴る音

 アルバムのオープニングを飾るのは、打ち寄せる波の音と、元NATURE DANGER GANGの福山タクによるサックスをフィーチャーしたインストゥルメンタル“千年後”。厳かな雰囲気から“3020”へと繋がり、壮大な物語が幕を開ける。

 「この話は現代の東京で終わるんですけど、その物語が語られるのは超未来だと思うので、その超未来で鳴ってる音が必要だと思って、イントロダクションになるトラックを作りました。ジャズって、テーマが鳴ってソロがあって、どこかでバチッとテーマに戻るところにカタルシスがあったりするじゃないですか? そういう構成美は一曲の中でも意識したし、アルバム全体でも意識してます」。

 SF的な世界観を象徴する“月面源流釣行記”は、扇動的なサンプリング、石原の片言の歌とヴォコーダー使いが奇妙な違和感を生みつつ、河野“Time Machine”岳人のベースがインパクト大な一曲。“TEMPEST”も流麗なピアノとベースのループが耳に残る仕上がりだ。

 「“月面源流釣行記”を歌ってるやつが人類なのかロボットなのかわからないけど、もう人ならざるものになっちゃってるというか……月面にいるやつはきっとこんな感じだろうなと(笑)。歌詞はマジックリアリズムというか、現実にはありえない事柄を細部まで論理的に描写する、みたいなことを考えて書きました。ベースはものすごいスピードで動いてて、弦跳びもしまくってるんですけど、他の楽器との兼ね合いとか、楽曲のことをちゃんと考えてくれてると思います。“TEMPEST”を書いていたときは台湾の友達のことを考えていた気がする。コーラスはTAMTAMのKuroちゃんが参加してくれました。台湾ということでエニグマの“Return To Innocence”を意識していまして(笑)。あいう旅情感を感じられるようにしたかったんです」。