アイスエイジの登場以降、2010年代前半におけるロックの震源地となったデンマークはコペンハーゲン。その影響は現在も世界中のインディー・シーンに見られる。ユングは、同地より登場した4人組のガレージ・パンク・バンド。彼らが5年ぶりの復活を告げるニュー・アルバム『Ongoing Dispute』をリリースした。
2016年のアルバム『A Youthful Dream』で世界のインディー・ファンが注目
まずバンドのこれまでの歩みを振り返ってみる。当時まだ10代で、いくつかのハードコア・パンク・バンドでプレイしていたフロントマン、ミケル・ホルム・シルケアー(Mikkel Holm Silkjær)が中心となり、2010年ごろに結成。2013年に初リリースとなるカセットを、ミケル自身が運営するレーベル、ショードウッド(Shordwood)よりリリースした。翌2014年には、地元のレコード・ストア、バッドスチューロック(Badstuerock)と、アイスエイジのデビュー・シングルなどをリリースしていたマスターマインド(Mastermind)とのダブルネームでLP『Falter』を発表。
この『Falter』がUKのレーベル、タフ・ラヴの耳に留まり、同郷コペンハーゲン発の新星として注目を集めていたコミュニオンズに続いて、ユングも同レーベルとサイン。そして数枚のEPをリリースした後、ウェーヴスやヤックを送り出してきたUSの名門インディー・レーベル、ファット・ポッサムとも契約。2016年のアルバム『A Youthful Dream』で、満を持して世界デビューを果たすこととなった。
『A Youthful Dream』は世界各国の音楽メディアからも注目を集め、リリース後は国内外のフェスに出演。2016年には日本でのライブも行うなど、バンドは順調にキャリアを重ねているように見えた。が、その一方でタイトなツアーに疲弊し、金銭的にも厳しい状況に陥っていたそうだ。果たしてこのままバンドを続けていく意味があるのか?――バンドの今後を考えるうえで、一時的に活動をスローダウンさせることになった。