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BiSへのカウンター

――とはいえASPにはちゃんと意味もあって。

「はい。そこは真面目に言っておかないと後で苦しくなるので(笑)、実際は〈ANTi SOCiETY PUNKS〉の略称ですね。〈ANTi SOCiETY〉ってわざわざ付けてるのはBiSに対してのカウンターというか、〈改めて僕がBiSみたいなのを作ったらどうなるのか?〉っていうのが裏テーマではあります」

――そうでなくても旧BiSっぽさは感じたんですよね。

「はい。ヴォーカルの音めっちゃ小っちゃいですしね(笑)」

――そうですね(笑)。では、個々についての選出の経緯を教えてください。まずはWAggから昇格したナアユさん。

「ナアユはどういう形かは別として、真っ先に昇格させたいなと思っていたメンバーではありました。ただ単純に足の怪我が大変で、そこから精神的にも良くないほうに落ちちゃってたので、〈療養して戻ってこようね〉みたいな話だったんですよね。なので最初はASPっていうつもりもなかったんですけど、年始に連絡をくれて話したら気持ちの面は上向いてきてる感じだったので、実は一緒に病院に行って足を診てもらって、お医者さん的にも〈5月6月ぐらいからなら大丈夫だと思います〉っていうことだったので誘ったという状況でした。なので、ナアユが上がるのはWAggのみんなも納得というか、驚きではなかったのかなと思ってます」

――モグ・ライアンさんは?

「彼女は去年の合宿最終日にユウドット・comにオセロで負けて落ちた候補者だったんですけども、かなり気になってた存在で、次オーディションに来たら取ろうとは思ってました。ユウドット・comも彼女もどっちも取りたい人材ではあったんですけど、映画『らいか ろりん すとん』にも映ってるように、このまま何事もなく合格しても2人ともたぶん辞めちゃうだろうなと思いつつ、そうは言いながら両方とも落とすのは考えづらかったので、どっちかが負けて落ちることになって。本当は彼女が這い上がってくるまでユウドット・comが辞めていなければ、また違う未来があるんじゃないかなと僕の中では思ってたんですけどね。でも、たぶんオセロの結果が逆だったらモグ・ライアンが辞めてたのかもなって思います」

――脱落後の〈Project WACKちん〉を通じて様子を見てきて、モグさんの変化は大きかったですか?

「やっぱり落ちてからの彼女は、話をしていてもかなり変わりました。プロレスとかもそうですけど、負けの美学みたいなものはやっぱり凄くあるなとは思っていて。いきなりチャンスを絶たれたっていう状況のなか、ある意味では負けを1回経験しているので、その感覚を持っていることが凄く強いな~と思っています。同じような経緯で入ったBiSのトギーもやっぱり一瞬一瞬を大事にするっていう状況の体現者だと思うので。そういうところも含めて、モグ・ライアンには期待してる部分が大きいかな」

――落ちたことで考えも強くなったというか。

「そうだと思います。変な話っすけど、合宿で負けた人たちがお客さんたちは好きじゃないですか。なんで、〈Project WACKちん〉でも彼女はトップクラスに注目されてたんですけど、彼女がそういう人気に一切なびかないでやってる感じはカッコイイなと思って、やっぱり彼女自身が強くなったんだと思います。あと、彼女の歌が非常に好きですね。上手くはないんすけど(笑)、あのちょっと声が裏返っちゃう感じとかがすげえ好きですね」

――はい。そしてナ前ナ以さんです。

「最後に決まったのがナ前ナ以ですね。彼女はめざす道が別にあって、そっちを断つ形で入ってきたんですけど。面接で〈覚悟決めるなら来ていいよ〉っていう話をして。3時間ぐらい喋ったのかな。面接しててもうだつの上がらないことばっか言うんすけど、表現できそうな感じというか、僕の中で引っ掛かるものがあって。BiSHのハシヤスメ(アツコ)的な感じっすかね。ちょっと面倒臭そうだし大変だろうけど、化けた時に凄くおもしろくなりそうな部分を非常に感じて。ハシヤスメも最初は2時間ぐらい喋ってるんすよ」

――ギャンブル度が高いですか?

「そう、だから辞めちゃうかもしんないし、わかんないけど〈やってみたいな〉と思いました。あと、やっぱり彼女も歌が凄く好きですね。歌ってる雰囲気っていうか」

――未知数だけどASPの今後を占う人になるかもっていう。

「と思います。どっちかって言うと、他はもう知られてる3人ではあるので、台風の目は確かにナ前ナ以なのかなっていう気はしつつ、彼女たちがどうなっていくか、僕も全然予測がつかないところではあるので」