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インタビュー

Homecomings 福富優樹 × YOUR SONG IS GOOD サイトウ“JxJx”ジュン 『Moving Days』記念対談

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常に変化するYOUR SONG IS GOODが、子供ながらに大好きだった

――福富さんはYOUR SONG IS GOODをいつ、どのように知ったんですか?

福富「中2の頃に、家でSPACE SHOWER TVが観られるようになったんですよ。BEAT CRUSADERSのヒダカ(トオル)さんとジュンさんがVJをしていた『STUDIO GROWN』という番組で、ユアソンの“SUPER SOUL MEETIN' ~超ソウルミーティン~”のライブ映像とかを観て、びっくりしたんです。当時の僕はレミオロメン、アジカン、銀杏BOYZとかを聴いていて、そういうロック少年からしたら、ユアソンは〈なんじゃこりゃ、すごいな〉となる音楽だった。まだヴィレヴァンさえ知りませんでしたからね。

同時期に、ユアソンとビークルがコラボしたスプリット『FOOL GROOVE/OUR MELODY』(2006年)も出たから、そのCDと一緒にセルフ・タイトルのファースト・アルバム(2004年)を買ったんです。そのあと『COME ON!』(2002年)も手に入れたんですけど、SAKEROCKとYOUR SONG IS GOODは、どういう人なのか、なんていう音楽なのかわからないまま聴いてましたね」

YOUR SONG IS GOODの2006年作『FEVER』収録曲”SUPER SOUL MEETIN' ~超ソウルミーティン~”
 

――いわゆるロック・バンドではないし、謎の人たちだったと。

福富「でも、そのあとすぐにジュンさんとハマケンさん(浜野謙太、元SAKEROCK)が司会のスペシャの番組『スペシャボーイズ』がはじまって、それを通じてだんだんとわかってきたんですよ。『スペシャボーイズ』は結構カルチャー・ショックで、僕にとっての〈インディーズ〉とはまた違う〈インディー〉との出会いは、あの番組だったと思う。チャットモンチーやHALFBY、サ上とロ吉やTUCKERなんかも出ていたし、そういう人たちを通じて、〈自分が知らないところにめちゃおもしろいカルチャーがあるんだ〉と気づいたんです。

で、タワレコやヴィレヴァンとかに行ったら、そういうアーティストを絡めたコーナーがあって、自分のなかでもいろいろと繋がっていく。その中心にいたのがYOUR SONG IS GOODとカクバリズムだったんです。中2以降は、スペシャっ子やったので、TVを通じて常にジュンさんを追いかけているという感じでした。その間に、洋楽も聴くようになるし、自分が聴く音楽も変わっていくんですけど、ユアソン自体もめちゃ(音楽的に)変わっていったじゃないですか?」

サイトウ「そうだね(笑)」

福富「それが良かったんです。ユアソンの『THE ACTION』(2008年)は僕が高2のときに出たんですけど、あのアルバムはアークティック・モンキーズやクラクソンズみたいな音楽をユアソンがやっている感じでしたよね。そのとき自分もニュー・レイヴとかガレージ・ロック・リヴァイヴァルが好きだったので、『THE ACTION』にも〈そうでなくっちゃ!〉って思えたんです。それがすごく嬉しかったし、〈すげー!〉となったのを覚えていますね」

YOUR SONG IS GOODの2008年作『THE ACTION』収録曲”A MAN FROM THE NEW TOWN”
 

――『THE ACTION』でのパンク/ロック化には自分も興奮したのを覚えています。

福富「ユアソンのライブを最初に観たのも『THE ACTION』のツアーだったんですけど、それはもう衝撃的すぎたのか、ほとんど覚えていなくて。なんか壮絶だったんです。当時、自分はELLEGARDENとかを観に行ってていて、首にタオルを巻いて、短パンをはいて……というキッズだったんですけど、そういうメロコアっぽいノリとは違いつつも、お客さんがすごく暴れていて、会場内は酸欠状態。ジュンさんやメンバーも苦しそうだったし(笑)」

サイトウ「それ、僕も覚えているんですけど、演奏以前に〈とにかく呼吸……呼吸をさせてくれ〉って感じだったんです(笑)」

福富「『THE ACTION』のあとに出た『B.A.N.D.』(2010年)は大学受験の帰りにCD屋さんに寄って買ったんですけど、ヴァンパイア・ウィークエンドの『Contra』(2010年)も同じ時期に出ていて、一緒に購入しました。ふたつのアルバムは、音楽的にもトロピカルでリンクしていると思った。僕は『B.A.N.D.』では“UNBREAKABLE”が好きですね」

YOUR SONG IS GOODの2010年作『B.A.N.D.』収録曲“UNBREAKABLE”
 

サイトウ「渋いね。ありがとうございます(笑)」

福富「そのあとの“SIGNBOARDER TRIPPIN'”もすごく好きやし、こういう曲が最後に入っているっていうのがまたよくて……。『B.A.N.D.』のツアーのときは、もう京都に住んでたんですけど、ちょうどGWに金沢公演があって、帰省もかねて行けたんです。『THE ACITON』のツアーでは〈ユアソンのライブに行きました! 角張さんを遠目に見ました!〉っていう興奮だったけど、『B.A.N.D.』のときは〈ライブも最高だし、もうユアソン大好き~!〉となりました。京都に帰ったあとも磔磔に観に行ったし、大阪・梅田のAKASOと、さらに京都の嵯峨美の学祭にも行った。その年はたぶん8回くらいユアソンを観ていますね(笑)。追っかけみたいな感じでライブのたびにサインをもらっていました」

――ユアソンも音楽性の面ではいろいろと変化していきましたけど、福富さんはファンとしてその変わりっぷりに戸惑う時期などはなかったんですか?

福富「自分もリスナーとして成長していく過程にいたので、自然に受け入れられたんですよね。逆に『THE ACTION』のときに、それまでのユアソンみたいな音楽だったら、ここまでうわー!と興奮しなかったと思う。変化していくところが、子供ながらに好きやったんです。自分が歩いている道のちょっと先にいるけど、先にいすぎない感じも好きでしたね。

あと、バンドの変化の背景や影響を受けた音楽をインタビューやライナーノーツで教えてくれるのも良かったんです。全曲解説みたいなのがほとんどのCDに入っていたんですよね。あ、これ(『THE ACTION』)は入ってなくて悲しかった(笑)」

サイトウ「たぶん、力尽きたんだろうね(笑)」

福富「ホントにすごかったんです。FRUITYやNUTS & MILKの頃からそうだったけど、〈CDやのに読み物としてもおもしろい〉ことにも、スピッツやアジカンとは違う匂いがあった。SAKEROCKのCDにもライナーが入っていたし、そういうインディー感に惹かれたんでしょうね。ジュンさんは変化していくときに、ちゃんとリスナーに向けて説明するじゃないですか。ライナーに書かれているバンドやジャンルをTSUTAYAで探して借りるという作業を、中学や高校の頃はよくしていました。ある種、雑誌みたいなメディアとして、ジュンさんやユアソンを捉えていたところがあるのかもしれないです。

『OUT』(2013年)以降のインタビューも、自分がそこまでダンス・ミュージックに詳しくないぶん、知れるきっかけになれるから、とてもおもしろく読んでいます。そこでフォー・テットの聴こえ方が変わったり、クラップ!クラップ!のアルバムを買ってみたりして。なのでユアソンとの付き合い方というか楽しみ方みたいなものは、どれだけ人間的に距離が近くなっても変わっていないんですよね」

※いずれもYOUR SONG IS GOODの前身バンド
 

――Homecomingsも毎回ライナーを入れていますし、今作でもアルバムの全曲解説を特設ページに掲載していて。思えば、福富さんのそういうスタンスはユアソンから影響を受けていたんですね。

福富「めちゃくちゃ意識していますね。音楽として、というよりも、そういう姿勢からの影響がHomecomingsというバンドに表れている気がします」