その年のUKロックの盛り上がりを象徴する傑作となった『Schlagenheim』から2年経っての2作目。その過程ではマット・ケルヴィン(ギター/ヴォーカル)の活動休止を受けてトリオ編成に移行することを余儀なくされるも、それを契機に従来のジャム的な曲作りから転換し、サックスと鍵盤のサポートも迎える格好でバンドとしての肉体をまた異なる方向へと鍛えてきたのだから逞しい。キング・クリムゾンが引き合いに出された先行カット“John L”を皮切りにジャズやボッサ、アンビエントなどをくぐり抜け、10分近い終曲“Ascending Forth”に辿り着く頃には謎の達成感が込み上げてくる。音の話じゃなく、やがてバトルスのように変異しそうな可能性も感じさせる、スリリングでスリリングな一枚。めちゃくちゃおもしろい。