
シティ・ポップ、MJ、ジョン・メイヤー……TOTOの遺伝子は受け継がれる
――7月にリリースを控えてちょうどいま話題となっていますが、ジョン・メイヤー※の新作『Sob Rock』がすごくTOTOっぽいんですよ。ジャケットも思いっきり80年代風。先行曲の“Last Train Home”には、レニー・カストロ※2とグレッグ・フィリンゲインズ※3が参加していたり。かつてのAORを現代的な視点から再評価した〈ヨット・ロック〉という言葉もありましたけど、“Africa”文脈以外でもいよいよTOTOの本格的な再評価の波がやってきたのかな、なんて思ったりするのですが。
「いろいろな場面で80年代的なヒューマニティーを感じさせるサウンドとかチルな感覚が求められているなという感覚はありますよね。それは、エレクトロニックなダンス・ポップ全盛への反動かもしれないし、例えばブルーノ・マーズやタキシードが推し進めてきた路線の深化ということなのかもしれない。そうすると、リスナー間でもおもしろい現象が起こるんですよ。リアルタイムで当時の音楽を聴いてきた人たちと、その子供の世代が音楽の趣味の面で混じり合っていくっていうね(笑)。
TOTOみたいな音楽って、若い人からするとまだまだハードルが高いものに感じられるかもしれないけど、70〜80年代の音楽がこれだけ受け入れられているなかで、誰かがその要素をうまくアレンジして紹介したりすると意外とスッと入っていけるんじゃないかと思います。その上で、更に実際に楽器を手にとる人たちがいたとして、向上心をもってテクニックを磨きたいとなった場合、これほど参考になる音楽もないはずなんですよね」
――もう一つの再評価の回路として、もしかしたら、今熱烈なリヴァイヴァルが起きているシティ・ポップを経由してみるのもアリじゃないかなと思っていて。というのも、現在シティ・ポップという括りで人気を獲得している曲なりアーティストへ当時のTOTOのサウンドが与えた影響は甚大だったわけですよね。
「そうです。エアプレイ※を加えて、TOTO/エアプレイ一派なんて言われていましたね。あの頃(80年前後)、アレンジやソロ演奏まで、僕よりちょっと年上のプロのミュージシャンの人たちはこぞって真似していました。デヴィッド・ペイチの編曲、スティーヴ・ルカサーのドライヴするギター、ジェフ・ポーカロのドラミング、デヴィッド・フォスターのキーボード・サウンド、それぞれが模倣と憧れの対象だったわけです。シティ・ポップ系にとどまらず、松田聖子とかのアイドル/歌謡曲まで、モロに影響を受けた曲が沢山ありますよ。竹内まりや、尾崎亜美、Charなどは実際にそういった西海岸のプレイヤーたちと一緒にレコーディングも行っていますしね」
――日本のシティ・ポップを通じて、知らず知らずのうちにTOTOの遺伝子に触れているっていうことも大いにあるわけですね。
「そのとおりですね。シティ・ポップの元ネタをたどることで、TOTO周辺の人脈が浮かび上がってくるっていうおもしろみもありますよね。それ以外のジャンルでも、例えばマイケル・ジャクソンの“Human Nature”※とか、シェル・リン の“Got To Be Real”※2とか、クラシックなヒット曲にもTOTOが絡んでいる。彼ら自体に興味が薄い人でも、どこかしらでTOTOのサウンドには触れていると思うんですよ。そうやってクレジットを調べたりすることを通じて興味を広げて欲しいなと思いますね。僕ら音楽ライターの仕事は、そういう興味を多くのリスナーに喚起させることでもある。これからもいろいろな情報を発信していきたいですね」
――まさに、〈TOTOは偏在する〉ですね。
★その他、TOTOのヒット曲・代表曲をまとめた入門編プレイリストはこちら
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