連載

【colormalイエナガとmeiyoワタナベタカシの〈今月のイエナベ!〉】第4回 ズカイ、稲葉曇、長瀬有花、一人一人のスースーなどをご紹介!

【colormalイエナガとmeiyoワタナベタカシの〈今月のイエナベ!〉】第4回 ズカイ、稲葉曇、長瀬有花、一人一人のスースーなどをご紹介!

2021年よりバンド体制になったcolormal(カラーマル)のヴォーカル/ギター担当イエナガと、自身のソロ・ユニットmeiyoの他に、侍文化SAM4416POLLYANNA、HGYM、プールと銃口といったバンド・ユニットにも在籍し、数々のアーティストのサポートや楽曲提供も行うワタナベタカシの二人による連載〈今月のイエナベ!〉。東西を代表するインディー・アーティストの雄でもあり、友人同士でもある二人が、その月(今回は2021年6月)に聴いて良かった音楽を3曲ずつ、〈イエでナベでも食べながら報告しあう〉ように紹介する連載です(たまに編集の酒井が茶々を入れます)。それではお二人、張り切ってどうぞ~!

★colormalイエナガとmeiyoワタナベタカシの〈今月のイエナベ!〉記事一覧

 


ズカイ “ムーンライト”

イエナガ(colormal)「大阪の5人組インディーロックバンド、9月リリース予定のミニ・アルバムからの1曲。僕自身もバンドマンとして活動する中で色んな方と共演してきたんですが、大阪で一番フロントマンのスター性とナルシシズムを感じたのがズカイのヴォーカル・まんくも。トリプルギターを活かした流線型なイントロ、アーメンブレイク的なアプローチも含めて人懐っこさのあるドラムス、華やかさを添えるシンセサイザー。〈ムーンライト 見切り発車だろうと 10万カンデラ輝き〉〈ルーラ!できず 遅刻だなぁ〉と歌い上げるサビのロマンチシズムたるや。少年性と色気を交互に行き交うこの感覚は、個人的には岡村靖幸やプリンスを彷彿とさせられてしまいます」

ワタナベ(meiyo)「イエナガが紹介してくれるバンドはどれも音がいいよね。岡村ちゃんってのも言い得て妙だし、MVのぐんぐん近づくカメラワークでBase Ball Bearの小出さんもちょっとよぎったり。共通して言えるのは、誰かの人生や価値観を大きく狂わせるタイプの魅力を持つアーティストたちだよね。いまズカイの他の曲も聴いてるけど、彼らもきっとそうだと思った。ヴォーカルの方、最近なかなか見かけない〈眼〉をしていてときめいちゃった」

 

稲葉曇 “ロストアンブレラ Vo. 歌愛ユキ”

ワタナベ「ボカロ、最初のブームのときにはよく聴いてたんだけど最近のことはあんまり知らなくて。最近meiyoでTikTokをやってるのでまたその文化に触れ始め、この曲もTikTokで知った。調声か歌愛ユキの特徴か、絶妙に〈ボカロだからこそ〉な感じがあって素晴らしい。あくまでボカロの枠内での面白みを突き詰めるところに美学を感じて自分も買っちゃいました。歌愛ユキ。ボカロが今後進化して限りなく人間に近付いたとき、そこに価値はあるのだろうか? 新曲”レイニーブーツ"も凄かった!」

イエナガ「ボカロPは地上波で特集が組まれたり、今となってはかなりオーバーグラウンドな立ち位置にあると思うのですが、それでもなお過去のボーカロイド楽曲から枝分かれして流派があるような気がしていて。その中でも稲葉曇はほのかに漂う幾何学感からwowakaの系譜が当初あって、そこからオリジナリティにシフトしている気がします。ボカロの枠組みを外してみせるアーティストが多い中、さらにその内側にこもって精度を上げたような感覚は今の時代しか味わえないだろうな」

酒井「なんだこの曲!?!? ボカロはなんか独自のマナーみたいなものがありそうで食わず嫌いしてるんですけど、すごく面白い……(そういえば何年も会ってない弟がボカロPをやっているらしいとの噂)」

 

ベルマインツ “微熱”

イエナガ「こちらも関西は神戸発のバンド、ベルマインツの最新アルバムから。ドラムスに石若駿、プロデュースで僕が参加しました。素晴らしい楽曲に、手前味噌ながらいいスパイスを加えられた気がしたので紹介させてください。関西のインディー・シーンのカラーに合わせた軽快さが魅力のバンドだったのですが、本楽曲は重たい音像にドラマチックなコード進行で新境地へ。〈堪えられない夜に はぐれた涙の辿る先を追い 見つけた部屋にいたい〉……先程紹介したズカイといい、このドキッとさせられる色気を持つヴォーカル・盆丸の歌詞。友人ながら、二人ともスケベなんだろうなと思っています」

ワタナベ「Twitterでもチラッと書いたんだけど、普段あまり聴かないラジオを聴いていたらこの曲が流れてきて〈うわ、超良いアーティスト見つけちゃった!今月のイエナベの紹介候補だ!〉とか思ってたら紹介どころかもはやイエナガがプロデュースしてました。びっくり! そしてなにより、良すぎて悔しい! なんでこんなに良いのだろう。全てが心地よく、切ない。

僕が曲を好きになる基準は〈着メロにしても良い曲か?〉って所にあるのですが、まさしくそれです。もちろんこの音源の音は最高だけど、音色に依存しない普遍的な良さが溢れまくってますね。前情報なしで好きだと思えたバンドは久しぶりだったから嬉しかったのよ。自分もイエナガにプロデュースしてもらったらこの良さ出る? 出ないか」

 

長瀬有花 “駆ける、止まる”

ワタナベ「〈だつりょく系バーチャルアーティスト〉こと長瀬有花の初のオリジナル曲。ヴァーチャル・アーティストということでキャラクターと設定がある二次元の存在なのに、名前はごく一般的な人名だし、MVも非常にスタイリッシュで潔癖な感じの3DCG。さらには実験的に、〈ながせゆか+〉として三次元弾き語り動画なんかもアップしてるという次世代過ぎるアプローチ。声は心地よく、高城みよの作る楽曲も唯一無二。コアな音楽好きからVtuberファンまで、どの層にもハマる要素を持ち合わせてるので、これからが楽しみでなりません」

イエナガ「Vtuber発のシンガー、増えましたよね。僕も花譜を聴いたりするのですが、SNSが発達してアーティストのパーソナリティーが透けていく中でこの匿名性がなんとも言えない魅力。インターネットにおけるタイムライン問答は今や歌詞の常套手段ですが、その嫌味にならないラインを探ったバランスとアクの強すぎないヴォーカルはさらにその匿名的な良さを推し進めていると感じました。アーティストでありすぎず、アイドルになりすぎず。個人的に女性声優がアーティスト活動をしている中で発表する隠れた名曲的な良さを感じました!(つまり好きってことです)」

 

adieu “春の羅針”

イエナガ「女優・上白石萌歌のアーティスト活動にあたるadieu。本楽曲は君島大空プロデュース。近頃SNSでこの名前を見かけない日の方が少ないのですが、そんな彼の最新ワークスが本楽曲。本人名義の楽曲では、建築物や絵画のような緻密さを感じさせる彼ですが、楽曲提供においてポップスに対する機微も感じられますね。低体温なadieuの歌声も含め、日本人における春の期待と不安を優しくかき混ぜた名曲です。あと、今回紹介した3組とも友達の楽曲ですね……。才ある友人を自慢してしまった形ですが、ご容赦ください(笑)」

ワタナベ「君島大空さんが提供する曲、どれも凄いなぁ。RYUTistの“水硝子”も凄かったし。以前ライブで観たときはその場の全てを優しく丸呑みするような音楽に圧倒された記憶があるけど、こんなにも真っ当にポップスを書ける人だとは知らなかった。それはそうと、上白石萌歌さんも本当に凄いな。こんなにも素晴らしい歌声をもってて、演技までできるって本当ですか? 何より言いたいのは〈そして〉から始まる歌詞はズルいです、大好物!」

 

一人一人のスースー “THE 好き”

ワタナベ「先日、侍文化で共演した一人一人のスースーが超良かったのでご紹介。ベースの方の喋りと出で立ち、絶対どこかで見たことある……って思ったのですが、昔GOODWARPの企画でみた〈すぃすぃず〉の斉藤さんだった! なるほど〜! そんな元すぃすぃず斉藤騎一さん作詞作曲による楽曲は猛烈にキャッチーでかわいい! 音楽愛が溢れて止まらない音作りも、たまらん! そしてMV、必見です。こんなの、誰もがファンになっちゃいます」

イエナガ「MV、ずるい!!! 〈YouTubeに蔓延る得体の知れない芸能人の生い立ち動画〉風味の映像で心掴まれちゃった。サビが終わった後にギターは1コードでベースだけ動いたり、サビは大胆に“渚”を感じるゆったりとした譜割りのヴォーカルが揺れる。キッチュな楽曲の中に光る計算が心地よい。随所に見られるベースのフィルや楽曲の組み立て方に亀田誠治的〈ベーシストの作曲〉を感じたのですが、作曲の斉藤騎一さんがベースを弾いてるんですね。音像がローファイ気味なのにピアノのリヴァース音が効果的にSEとして組み込まれていたり、かなり聴き込める一曲」

 

次回は8月頭に公開予定! お楽しみに!

 


LIVE INFORMATION

calm presents"Lucky for Some"
2021年7月18日(日)大阪・心斎橋ANIMA
出演:愛はズボーン、Subway Daydream、(夜と)SAMPO、colormal、LADY FLASH、Jam Fuzz Kid、ベルマインツ
開場/開演:TBA/TBA
https://liveanima.jp/?event=calm-presents-lucky-for-some

“それぞれのシネマ”カチンコ
2021年8月9日(月)大阪・梅田シャングリラ
出演:Ryota Mori、ジラフポット、colormal
開場/開演:17:00/17:30
前売/当日:3000円(税込)/3500円(税込)

【evol】-Shiki 2nd Album『Hue』Release Tour「色相環 」-
2021年8月14日(土)大阪・北堀江club vijion
出演:Shiki、colormal、SAPPY、ゼノ、hizume、shitakuchü、ivory iris
開場/開演:TBA/TBA
料金:2500円(税込)