スピード・グルー&シンキのライブ・アルバム『MAAHNGAMYAUH』が2021年10月6日(水)にリリースされる。
元パワー・ハウスの陳信輝(ギター)、元ザ・ゴールデン・カップスのルイズルイス加部こと加部正義(ベース)、そしてフィリピン出身のジョーイ・スミス(ドラムス/ヴォーカル)が結成した伝説的なパワー・トリオ、スピード・グルー&シンキ。71~72年の1年強というごく短い活動期間に残したオリジナル・アルバムは『イヴ(前夜)』(71年)と『スピード・グルー&シンキ』(72年)の2作のみ(いずれもオリジナル盤はかなりのレア盤として知られている)。にもかかわらず、70年代初頭の日本におけるヘヴィー・サイケデリック・ロック/ブルース・ロック・シーンを代表するバンドとして知られており、ストーナー・ロックの先駆けにして最高峰との呼び声も高い。そのサウンドは、とくに90年代以降海外で再評価されつづけている。
そのスピード・グルー&シンキの、貴重なライブ音源が正式にリリースされる。活動期間の短さなどから、ブートレッグを含めてこれまでにライブ音源が世に出ることがほとんどなかったバンドであり、今回の発掘は世界的な発見と言っていい。50年間伝説とされていたライブの模様が今回、ついに明らかになる。
『MAAHNGAMYAUH』をリリースするSUPER FUJIからのプレス・リリースには、次のようにある。
ファースト・アルバム『イヴ(前夜)』で垣間見えたドライでダークな感触が、このライブ音源ではさらに際立ち、通常の精神状態では表現できないアシッドなダウナー感を覚える。タメや粘りとは異なるドロッとした陳信輝のギターは、触覚を以って感じさせてくれ、さらに大陸的なタイム感を持っていることがわかる。リード・ベースと言われた加部正義のベースはさらに重く、ジョーイ・スミスのパワフルなドラムも聴きどころ。ヘヴィーでサイケなアシッド・ロックだが重苦しさはなく、何事にも囚われることのない自由で突き抜けた本物のロックだけが持つ唯一無二のバンド、スピード・グルー&シンキの魅力が存分に発揮されたライブ・アルバムだ。『イヴ(前夜)』に収録された2曲と、そのテーマからのインプロビゼーションとジャム演奏に終始した一度きりの演奏、40分弱に及ぶ1回のライブを丸ごと収録、その先天的なオリジナリティーを体感してほしい。
今回リリースされるライブ盤は、2曲の未発表曲を含むもの。録音場所・日時は共に不明だが、陳信輝の証言によれば『イヴ(前夜)』の録音直後とのことで、71年4月3日に東京の日比谷野外音楽堂で開催された〈日比谷ロック・フェスティバル(Rock Festival In Hibiya)〉での演奏ではないかと推測されている。
この国のロック史に新たな1ページを加えるであろう、スピード・グルー&シンキの非常に貴重なライブ・レコーディング。50年の時を経てよみがえる伝説の演奏を、ぜひこのライブ・アルバムで体験してほしい。
*2021年9月15日追記
仮題だった本作のタイトルが『MAAHNGAMYAUH』に決定。未発表の2曲目、4曲目のタイトルも“WALL ST JAM”“DO YOU WANNA KNOW”になった。さらに、メンバーの加部正義が描いたカバー・アートおよび本作のトレイラー動画も公開された。
RELEASE INFORMATION
リリース日:2021年10月6日(水)
品番:FJSP435
フォーマット: CD
価格:2,695円(税込)
TRACKLIST
1. STONED OUT OF MY MIND
2. WALL ST JAM
3. MR WALKING DRUGSTORE MAN
4. DO YOU WANNA KNOW
■メンバー
陳信輝 Shinki Chen(ギター)
加部正義 Masayoshi Kabe(ベース)
ジョーイ・スミス Joey Smith(ドラムス/ヴォーカル)
録音場所日時不明
ジャケット画:加部正義
編集・マスタリング:中村宗一郎(ピースミュージック)
デザイン:MayGoo
解説:山田順一
PROFILE: スピード・グルー&シンキ(SPEED, GLUE & SHINKI)
70年代初期のヘヴィー・ブルース・サイケ・ロックを代表するバンド。90年代以降、海外から再評価され続けている。
66年、陳信輝と加部正義は、竹村栄司(CHIBO)率いるガレージ・ロック・バンド、ミッドナイト・エクスプレスに参加後、それぞれ日本を代表するブルース・ロック・バンドであるパワー・ハウスとゴールデン・カップスを経て、70年、陳信輝は加部正義、つのだひろ、柳田ヒロとフード・ブレインを結成しアルバム『晩餐』を発表。陳信輝は71年にファースト・ソロ・アルバム『Shinki Chen』をリリース後、加部正義に加え、在日フィリピン・ミュージシャンのジョーイ・スミスとスピード・グルー&シンキを結成。スピード・グルー&シンキは『イヴ(前夜)』と『スピード・グルー&シンキ』の2枚のアルバムを残し72年に解散、実質1年強の活動だった。
ジョーイ・スミスはフィリピンに帰国しホワン・デ・ラ・クルス・バンド(Juan De La Cruz Band)に加入、国民的英雄バンドに押し上げた。