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コラム

レディオヘッド(Radiohead)『Kid A Mnesia』革新的な2枚の名盤が20年を経てひとつになった意味

©John Spinks

説明不要な現在進行形のレジェンドが生み出した問答無用のアイコニックな大名盤――『Kid A』と『Amnesiac』がひとつの作品として降臨! 時代を創った音楽は20年の時を越えて現代にどう響く?

ポップに受容された先鋭性

 90年代から長きに渡って世界的な人気と高い影響力を誇るレディオヘッド。2019年には〈ロックの殿堂〉入りも果たした堂々の大御所バンドながら、現時点での最新作『A Moon Shaped Pool』(2016年)に至るまでコア層の別格視と商業的な成功を両立させ続けている姿は驚異的という他ない。そんな特別な存在であるがゆえの再検証プロジェクトとしては97年の金字塔『OK Computer』の20周年記念盤『OK Computer OKNOTOK 1997-2017』も記憶に新しいが、それに続くリイシュー企画が、このたび登場する『Kid A Mnesia』だ。これは米Rolling Stone誌の選ぶ〈2000年代のアルバム・ベスト100〉でも堂々の1位に君臨した4作目『Kid A』(2000年)と、同じ録音セッションから生まれた5作目『Amnesiac』(2001年)という2つのアルバムをセットにし、ボーナス・ディスクを付属したCD/LP3枚組の大作となる。

RADIOHEAD 『Kid A Mnesia』 XL/BEAT(2021)

 言うまでもなく『Kid A』と『Amnesiac』は彼らの先進的なイメージを決定づけた2タイトルだ。とりわけオフィシャルの資料にも〈発売当時、ギター・ロックのフォーマットを捨て去りエイフェックス・ツインやオウテカなど先鋭的なエレクトロニック・ ミュージックを取り入れた作風で物議を醸した〉と記されている前者が、『OK Computer』からの急進的な飛躍ぶりで〈問題作〉と騒がれた当時の状況を記憶している人もいるかもしれない。とはいえ、彼らの野心的な変化は初作から2作目に向かう時点ですでに始まっていたわけだし、リアルタイムで楽しんでいたリスナーがそうした変化を受容する雰囲気があったのは確かで、当時のメディアらしい大仰なラベルをいつまでも貼り付けておく必要はないだろう。

 そもそも当時のレディオヘッドは『OK Computer』(彼らのフィジカル盤で最大のセールスを記録)によって人気を世界規模に広げており、すでに彼らをプログレッシヴな音楽集団として歓迎する柔軟な支持基盤を築き上げていたように思う。また、その延長線上にある『Kid A』が本国UKのみならず初めて全米チャートをも制したという事実は、彼らの挑戦が率直にポップなものとして認められたということを示すものだ。続く『Amnesiac』も初週セールスで前作を超えているし(日本でもオリコン総合2位を記録)、そのヒット以降に多方面でリサイクルが増えはじめた様子も、世界的なヒット作としての位置付けを物語るのではないか。

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