今年もっとも待たれていたアルバム。“Two Weeks”で沸点へと達した期待を背に届けられた初作は盟友アルカと育んできたレフティなファンタジアをそのまま追求している。“Pendulum”ではポール・エプワース、“Give Up”ではエミールがそれぞれシンガーとしての魅力をストレートに引き出しているのに唸らされ、全編を通したその危なっかしくホーリーなエロスの怪演はもちろん、クラムス・カジノにサンファやデヴ・ハインズ、そしてインク兄弟を贅沢にもただのピースとして扱ってしまう楽曲のディティールへの徹底したこだわりっぷりも見事だ。R&Bのゾーニングとかビョークやアリーヤのポスト論(あとUTADA耳でも……とか言いたくなっちゃう)も誘発しちゃう今年の顔は、間違いなくこんな顔。