アルカとの出会いは運命だった!?
かつてグライムスはエクレクティックな自身の音楽性について、「まるでビョークみたいでしょ!?」と語っていましたっけ。彼女に限らず、ゾラ・ジーザスでもナイト・ジュエルでもOKですが、2012年を前後して浮上した、〈インディー・シンセ女子〉などと呼ばれる人たちからは、セルフ・プロデュース能力の高さや旺盛なチャレンジ精神、我の強さも相まって、多かれ少なかれビョーク的な匂いが感じられたりするわけです。
で、そのようなフォロワーが育っていくなか、声楽の素養を備える点も含め、やはりビョークと比較される機会の多いFKAツイッグスを手掛けた旬の人、アルカと本家が手を組んだことこそ、『Vulnicura』の最大の話題と言えましょう。意外な組み合わせというより、あらかじめ相性の良さが確約されているというか、昔馴染みのようにしっくりくるこの感じ。それは、常に嗅覚の鋭さを見せつけてきたビョークが今様のインディーな空気感を求めたと同時に、インディー側からも彼女への歩み寄りが進んでいたからに他なりません。互いに引き寄せ合い、果たしてここに2015年の音が誕生するに至りました。