マイルス・デイヴィスが伝説のミュージシャン役で自ら出演したことで、1991年当時話題になった音楽映画「ディンゴ」。ミシェル・ルグランとマイルスがタッグを組んだサントラ盤も注目となり、その音楽を聴いた人は多かったが、映画本編を見た、という一般音楽ファンはそれほどいないと聞いている(レイトショーで公開日数が少なかった等々)。導入部で緊急着陸した飛行機の中からマイルスがバンドを率いて現れ、圧倒的な演奏で、少年時代の主人公を魅了してゆく展開は、マイルスをとてもカッコよく見せているし、思わず引き込まれる。生誕95周年没後30年、〈俳優〉マイルスを観て締めくくりたい。