ニューEP『Tide Pool』に続いて、テレビ東京ドラマ25「先生のおとりよせ」のエンディングテーマソングである新曲“差し色”をリリースするなど、いま話題の2人組であるBialystocks。彼らが、ジャンルレスなアーティストとの交流を目的とした対バンライブ企画〈音楽交流紀〉をスタートさせた。その記念すべき第1回に招かれたのは、グソクムズだ。ここでは、当日のライブの模様はもとより、2組の音楽的交流や企画の意義などをライターの峯大貴が伝える。 *Mikiki編集部
Bialystocksのフレッシュな試み〈音楽交流紀〉
〈音楽交流紀〉というこの日掲げられたイベントタイトルに、Bialystocksの現在地と目的意識が強く表れている。
甫木元空(ボーカル/ギター)が監督を務めた映画「はるねこ」(2016年)の劇中音楽を生演奏するイベントをきっかけに2019年から始動したとあって、ライブハウスでの活動をベースにしてきたバンドとは出自が異なる彼ら。またフィジカルに訴えかけるバンドサウンドがあくまで軸だったファーストアルバム『ビアリストックス』(2021年)に比べると、新作『Tide Pool』は甫木元と菊池剛(キーボード)の2人組になったことで、よりパーソナルな世界を緻密なプロダクションで構築した作品だった。
だから次の動きとして、他のバンドを巻き込み交流しながら、現体制のライブスタイルを確立していく場所を設けることは至極真っ当だし、彼らにとってフレッシュな試みと捉えることもできるだろう。それを証明するように、この日のライブは、ゲストが奏でる音楽と強力なサポートメンバーを得たBialystocksのパッションにあふれた演奏が見事に交わっていた。
グソクムズの軽妙洒脱、でも堂々としたパフォーマンス
〈音楽交流紀〉の第1回目のゲストとして先手を務めたのはグソクムズだ。
2曲目の“すべからく通り雨”が終わった後に、たなかえいぞを(ボーカル/ギター)が「いやぁ、緊張したね」とつぶやいた。その飄々とした佇まいがこのバンドの魅力を体現している。たなかのもったりとした声と、堀部祐介(ベース)と中島雄士(ドラムス)のブライトなコーラスとのコントラストは、ファーストアルバム『グソクムズ』(2021年)に感じられた心地よい風が、ステージから客席に向けて吹き抜けていくようだ。
一転、加藤祐樹(ギター)のギタープレイには、ギターポップやガレージロックの香りを嗅ぎ取ることができる。“夢が覚めたなら”で多用されるオクターブのフレーズを始めとして、グソクムズというバンドが全体的にまとうフォーキーな質感から軽やかにはみ出ていく役割を、彼の演奏が随所で担っていた。
また中盤では新曲“夏が薫る”を披露。軽快に飛び跳ねるモータウンビートに心がムズムズと踊らされる。
軽妙洒脱、でも堂々としたパフォーマンスで、グソクムズはステージを後にした。