連載

【西山瞳の鋼鉄のジャズ女】第53回 ジャズギタリスト鈴木直人に訊く! メタルのルーツと激動の音楽人生

メタラーのジャズピアニストによるHR/HM連載

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「ヤング・ギター」に載ってるフレーズを片っ端から練習した

――最初はどういうものを演奏していたのですか?

「BOØWYとかZIGGYとかJUN SKY WALKER(S)から入って、そのうちヤンキーの先輩たちがどんどんガンズ(・アンド・ローゼズ)とかのCDを貸してくれたの。

最初に軽音楽部でやってたのは、ヨーロッパの『Out Of This World』(88年、『The Final Countdown』の次の作品)。キー・マルセロ(ギター)が格好良くて、超上手くてさ。

ヨーロッパの88年作『Out Of This World』収録曲“Superstitious”

あとはミスター・ビッグのファーストアルバム『Mr. Big』(89年)。先輩たちが“Addicted To That Rush”とかを聴いていて、〈なんじゃこりゃ〉って興味を持って。ガンズとモトリー・クルーのCDも貸してもらって、それで大分弾けるようになった。

ミスター・ビッグの89年作『Mr. Big』収録曲“Addicted To That Rush”

中1の終わりに〈3年生を送る会で演奏していい〉って機会があって、その時に“Sweet Child O’ Mine”(87年、ガンズ・アンド・ローゼズ)は全部弾いたな」

ガンズ・アンド・ローゼズの87年作『Appetite For Destruction』収録曲“Sweet Child O’ Mine”

――今までインタビューした人は皆、最初の感触として〈意外と弾けた〉っていう記憶があるのが共通しています。

「なるほどね。自分の場合、一緒に買った友達がいたんだけど、俺の方がどんどん弾けるようになっていくから、〈向いているかも〉って思っちゃった。先輩で上手い人もどんどん抜いていった実感があって、それは大きなモチベーションになったかもしれない」

――その頃、どんな練習してたんですか。

「たぶん、自分の成長とギターの技術の向上において、『ヤング・ギター』(雑誌)がとても大事だったと思う。すごく練習したのが、『ヤング・ギター』に沢山載っているフレーズ。細かく断片的に色んなフレーズが載ってるから、それを片っ端から練習して。ゆっくりしたテンポでスウィープピッキングをするとか、それを3日間やり続けて3日目にやっと見えてくるみたいな、そんなことをやったりしてたな」

――クラシックをやっていたおかげで、譜面も読めるでしょうし、すでに練習自体に慣れていたんでしょうか。

「当時の譜面ってタブ譜も音符も間違っていることが結構あって、〈このフレーズは絶対こんな運指では弾けない〉っていうのがあったから、それを突き止めて弾くのも趣味みたいになってた。〈譜面を読む〉っていうよりは、耳コピと楽譜でぼんやり、みたいなバランスで。

『ヤング・ギター』は、ミュージシャン本人のインタビューとか写真と解説がついているから、信憑性があるでしょ。〈難しいから無理〉って思うけど、〈本人が弾いてるから練習してやらなきゃ〉って思ってやってたよ」

 

師 鈴木よしひさとの出会い

――高校の頃はどうでした?

「私立の男子校に入学して、一から友達を作らないといけなくて、入学してすぐギターを弾いてる子を3人ぐらい、〈バンドやろうぜ〉って仲間にしたのね。それでリハーサルを始めて。

ある時、学校の講堂の扉を開けたら、すごく速いフレーズが聞こえてきたの。〈これ何? 音が滑らかできれいだからキーボード?〉と思って入っていったら、先輩がギターで速弾きしてて、〈これはやばい〉と思った。それをきっかけに、その先輩とレーサーXのコピーバンドを始めたの、ボーカルとベースとドラムを見つけて。

で、その先輩がヤマハの教室(ヤマハポピュラーミュージックスクール)で習ってるっていうので、ヤマハに行ってみたら、鈴木よしひささん(ジャズギタリスト、ポリパフォーマンスで有名)がいたんだよ。この出会いは本当にラッキーだったと思う。色々と習うことができて、ジャズフュージョンの扉まで開けられたのは、よしひささんのおかげ。

メタルはそのまま続行してやり続けてたし、レーサーXのコピーバンドでライブハウスでもライブはやってたよ」

――その頃、周囲はメタルって聴いてました?

「高校には長渕(剛)にハマってるやつとかパンク系しかいないと思ってたんだけど、レーサーXを一緒にやってた先輩の周囲はゴリゴリのメタラーばっかで、パンテラとかを教えてもらって、〈やべえ!〉ってなったんだよ。

それこそ1年生の時、学園祭のオーディションの時は皆ミスター・ビッグとかを結構ソフトな感じでやってたのに、本番になったら照明と音響をガチで入れてて、照明フラッシュ状態の中ツーバスで〈ダカダカ!〉、やばいボーカルの人たちが〈ウワーー〉ってデス系で歌ってて、〈これは!〉と思って、空手部から軽音に転部したんだよね」

――(笑)。同時に習っていた鈴木よしひささんのレッスンのことを聞かせて下さい。

「15歳から20歳ぐらいまで習ってたんだけど、自由に弾けることが憧れで、アドリブを習いたかったんだよね。よしひささんがその時に練習してるもの――“Falling Grace”とか“Giant Steps”とかの譜面をいきなり渡されて。突然カウントを出されても弾けなかったし、〈お前、こんなのをすぐ弾けないとプロになれねえぞ〉って言われたりしてたね。ギターデュオ形式でセッションみたいなことを、週1回ずっとやってた。ちゃんとスケールとかコードの話もしてくれて。レッスンに行かなくなってからも、一緒にライブをさせてもらったりしてたよ」

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