リスニングのスタイルが多様化した現在、高音質で音楽を体験することへの需要も高まっています。そこでタワーレコードが推薦しているのは、多様な楽しみ方ができる高音質盤SACDです。そんなSACDの魅力を伝える連載〈SACDで聴く名盤〉の11回目に取り上げるのは、ディープ・パープルの不朽の名盤『Machine Head』(72年)。“Highway Star”“Smoke On The Water”という二大名曲を収録し、ハードロックのみならずロック史に燦然と輝く本作の、SACDハイブリッド盤の美点や楽しみ方を音楽評論家の近藤正義さんが伝えてくれました。 *Mikiki編集部

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タワーレコードのYouTube動画〈高音質のCD? 「SACD」とは《Q&A編》〉

DEEP PURPLE 『Machine Head(SACD/CDハイブリッド盤)』 Rhino/ワーナー(2011)

 

バンドにとってもロック史においても最重要作

68年にデビューした英国のロックバンド、ディープ・パープルにとって通算6枚目のオリジナルスタジオアルバム。サイケデリックな路線の第1期を経て、ハードロック路線に舵を切った第2期メンバーによる3作目という位置づけである。ハードロックの熱い衝動をそのままぶつけたようなサウンドで人気の高い『In Rock』(70年)に対して、本作『Machine Head』はハードロックの様式美を確立したという点で、バンドにとっても、ロックの歴史においても重要なアルバムと言える。

ライブアルバムの名作と絶賛される『Made In Japan』(72年)と同時期でもあり、重要なレパートリーである“Highway Star”“Smoke On The Water”“Lazy” “Space Truckin’”などのスタジオテイクが収録されていることも、親しみを覚えさせる原因だろう。当時のアルバムチャートアクションは英国1位、米国6位。

 

廃盤にならない不滅の一枚を究極の聴き方5.1chで

最強と言われた第2期のメンバーによるこのアルバムは70年代ロックを語るにおいて欠かせない重要なアルバムであり、72年の発売以来、廃盤になったことがない。つまり、驚異的なロングセラーアルバムなのである。

当然発売当時はアナログLPで、その後CD化されてからも通常盤だけでなく24KT Gold盤、SHM-CD、UHQCD、UHQCD × MQA-CD、リミックスされたアニバーサリー・エディション、1997リマスター、2012リマスター・スペシャル・エディション、40thアニバーサリー・セットのDVD-Audio、紙ジャケット仕様、SACDなど手を替え品を替えリイシューされてきた不滅のカタログである。

そして、今回ご紹介するのは2011年に発売されたSACDハイブリッド盤。このディスクはハイブリッド構造なので、通常の再生装置では普通の2chで聴くこともでき、SACDの再生装置であれば高音質で楽しむことができる。そこそこの大音量で聴く2chのスピーカー再生、あるいはヘッドホンならクリアなHi-Fiサウンドを確実に実感できるだろう。しかし、せっかくなので5.1chによる究極の聴き方を楽しんでみよう。