2022年6月22日、ユニバーサル ミュージックによる再発企画〈Throwback Soul ソウル/ファンク 定番・裏名盤・入手困難盤〉が始動、まずは〈70年代~打ち込み前夜編〉として一挙48タイトルものCDがリリースされた。世界初CD化や日本初CD化、ストリーミング未配信作を多数含み、ソウルフリークならずとも見逃せない大型リイシューになっている。そこで今回は、メタルやロック、ブラジル音楽などの再発時と同様に、タワーレコードのスタッフが推薦盤を3枚ずつ紹介する座談会を企画した。協力してもらったのは、タワーレコード オンラインの河田良介、TOWER VINYL SHIBUYAの田之上剛、タワーレコード新宿店の田中学の3人。音楽ジャーナリストの林剛を聞き手に展開された濃いソウル話は、さながら深夜のソウルバーでの会話のようで……。 *Mikiki編集部
抗い難いメロウさがたまらないアクティヴ・フォース『Active Force』
――本日は、ユニバーサルのソウル/ファンク再発シリーズ〈Throwback Soul〉でCD化された48タイトルの中から、おひとりずつ3枚、推薦盤をご紹介いただきます。ソウルミュージックとの出会いも簡単にお話しいただければと思いますが、まずは河田さんからお願いします。
河田良介(タワーレコード オンライン)「自分は76年生まれなのですが、アメリカの4大メジャースポーツ(NBA、MLB、NFL、NHL)が好きで、〈ここで流れている音楽のリズム感は何なんだ?!〉と小学生くらいの時に思って、近くにいた、ませたお兄さんに教えてもらったのが始まりです。
70年代のスティーヴィー・ワンダーに始まって、中学校ではヒップホップやR&Bを聴き、タワーレコードに入って新宿店で15年くらいソウルバイヤーとして勤め、今はオンラインを担当しています」
――その世代だと、フリー・ソウルの影響でソウルを好きになった人も多そうですが。
河田「確かに流行ってましたが、自分はそこを横目で見つつ、フリー・ソウルじゃなくてディープ・ソウルを聴けよ!っていう。今考えると生意気なやつだったと思います(笑)」
――では、今回のシリーズから河田さんの推薦盤を挙げてもらいましょう。
河田「1枚目はアクティヴ・フォースの『Active Force』(83年)です。
プロデュースを手掛けたマイケル・ストークスが大好きなんですよ。ファンク系のダンサーとメロウな曲の配分が絶妙で。彼の最高の仕事はエンチャントメントだと思っているのですが、その次がアクティヴ・フォース。このアルバムはエンチャントメントの『Utopia』と同じ年にリリースされてますよね。女性ボーカルと男性ボーカルの力強さというか、ストロングスタイルのボーカルが好きなんです」
――特にどの曲がお好きですか?
河田「5曲目の“Give Me Your Love”ですね。12インチも持っているのですが、こういうメロウ系は抗い難いです」
――一方で、彼らはエレクトロニックな曲がブギー的な文脈で再評価されていたりもします。
河田「ディスコファンク的な曲がありますよね」
田之上剛(TOWER VINYL SHIBUYA)「完全にエレクトロファンクな曲もあります。でも、メロウなスロウ、泣きのバラード的な曲に惹かれると。ファンクバンドのバラードがいいんですよ」
河田「そう。むしろそっちの方が好きなんですよね」