SPECIAL FEELING
『Cuz I Love You』が絶大な成功を収めてから3年、超待望のメジャー2作目はすでにジンクス不問の特大ヒット中! 全米1位の“About Damn Time”を筆頭に、リゾならではのキャッチーでポップでソウルフルな魅力は文字通りの『Special』だ!

LIZZO 『Special』 Nice Life/Atlantic/ワーナー(2022)

主役の安定感

 全米No.1に輝いた“Truth Hurts”はもちろん、“Juice”や“Good As Hell”といった楽曲単位での評価も含めて2019~2020年の賞レースを席巻した『Cuz I Love You』(2019年)とリゾ。そのロング・ヒットの印象もあって、もう3年が経過したとは俄かに信じがたいところだが、とにかく届いたニュー・アルバム『Special』は、ややマイルドになった印象を受けつつも文句のつけようがないポップな大作に仕上がってきた。リゾの成功後はさらに多方面で名を見るようになったナイス・ライフの首領リッキー・リードが引き続き全面バックアップし、ネイト・マーセローらのサポートもあるが、今回の味わいはブレイク・スラットキン(リル・ナズ・X、キッド・ラロイ、ラウヴ他)や売れっ子のイアン・カークパトリック、ポップ・ワンゼル、重鎮マックス・マーティンらモダンなポップメイカーたちの刺激的な顔合わせが、もとよりスペシャルなリゾの世界をエクセレントなものに磨き上げている点にある。リードとスラットキンによる大ネタ“Hey DJ”使いの“About Damn Time”はその最良の成果で、他にもマイケル風のホーンズが威勢のいい“Everybody’s Gay”があったと思えば大御所ジェリー・ヘイがアレンジした“Birthday Girl”があったり、クウェル・クリス&クリス・キーズの“Sudden Death”をコールドプレイ“Yellow”と組み合わせたラストの“Coldplay”まで、主役のソウルフルな振る舞いに安心して酔わされるからこそ細かいところに耳が行くのも楽しい。とりわけマーク・ロンソンの技アリな“Break Up Twice”は何度聴いてもやはりハッとしてしまうぐらいに最高だ。 *狛犬