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©Taira Tairadate
〈Elegant Time Concert~上質な時間を貴方に~ 笹沼 樹&秋田勇魚 デュオ・コンサート〉が2025年2月19日(水)に東京・銀座ヤマハホールで開催される。国内外で注目を集めるチェリスト笹沼樹と、ジャンルの垣根を越える唯一無二の活動を展開するギタリスト秋田勇魚。輝かしい経歴や受賞歴を持ち、仏パリで研鑽を積んだ2人が上質な響きの空間で披露するのは、スペインから東欧を巡り、南米の風を届けるプログラム。見どころなどをライター原典子に紹介してもらった。 *Mikiki編集部
次世代クラシックを担う2人の自由で対等な会話
チェロの笹沼樹とクラシックギターの秋田勇魚、ふたりの演奏にはじめて触れたのは2019年、日本コロムビアが立ち上げたレーベル〈Opus One〉のお披露目コンサートでのことだった。〈Opus One〉は次世代のクラシック界を担う20代のアーティストを多数送り出してきたが、ふたりはその第1期としてCDデビューした、いわば〈同期生〉だ。コンサートではそれぞれがソロを聴かせたあと、アンコールとして笹沼と秋田がデュオで登場、ピアソラ“タンゴの歴史”より“ナイトクラブ1960”で会場を盛り上げて終演となった。たった1曲の共演だったが、音楽家としての器の大きさを感じさせるエレガントなふたりの佇まいがとても印象的だったのを憶えている。
その共演は、ふたりにとっても何かを感じ合うものだったのだろう。以来、秋田が自身のコンサートのゲストとして笹沼を呼ぶなどして共演を重ねてきた。チェロとギターのデュオは比較的珍しいが、ギターが刻むリズムとチェロが奏でる息の長いフレーズの相性は抜群。そうかと思えばチェロが伴奏、ギターがメロディを奏でることも可能で、互いに役割が固定されず入れ替わることができる自由さが、対等な会話と風通しのよいサウンドを生み出す。室内楽奏者としてマルタ・アルゲリッチやダン・タイ・ソンら世界の巨匠と共演してきたアンサンブルの達人である笹沼と、慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)で学びクラシックにとどまらない柔軟な感性をもつ秋田にとって、自身の音楽性にぴったり合うフォーメーションであり、パートナーであることは想像に難くない。
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©上野隆文
名曲の新鮮なアレンジと未知の作品に出会えるコンサート
さて、ここにご紹介するヤマハホールでのデュオコンサートは、スペインから東欧を巡り、南米の風を届けるプログラム。ファリャのオペラ「はかなき人生」より“スペイン舞曲”第1番は、クライスラー編曲によるバイオリンとピアノ版が有名なので、メロディに聴き覚えがある方も多いだろう。グラナドスの“スペイン舞曲”はピアノのために書かれた小品集で、とくに演奏機会の多い第5番“アンダルーサ(祈り)”は情熱と哀切が相まったメロディが胸を打つ。
1970年ブルガリア生まれのアタナス・ウルクズノフによる“タンゾロジア”は民族舞曲を取り入れた作品で、作曲者自身によるチェロとギター版が出版されている。ペルトの“鏡の中の鏡”はポストクラシカルのファンにも人気の曲だが、チェロとギターで聴くとより深い瞑想へと誘われそうだ。ニャタリの“チェロとギターのためのソナタ”はこの編成のために書かれた貴重なオリジナル作品。
ピアソラの3曲“アヴェ・マリア”“アディオス・ノニーノ”“オブリビオン”は笹沼と秋田による編曲とのことで、バンドネオンで親しんだメロディに新たな角度から光を当ててくれるに違いない。そして1977年生まれのコロンビアの作曲家、エドウィン・ゲバラの“幻想曲”もチェロとギターのために書かれた作品である。
おなじみの名曲を新鮮なアレンジで聴けるだけでなく、未知の作品にも出会えるコンサート。ヤマハの技術の最高峰を集めた極上の響きとラグジュアリーな空間を誇るヤマハホールで、美しく濃密な歌が、爽やかな風にのって聴き手の心に届けられることだろう。また、終演後はカフェラウンジ〈NOTES BY YAMAHA〉にて開催される、アーティストを囲んでのパーティーに参加できるプランも。銀座の昼下がりにいかが?
LIVE INFORMATION
Elegant Time Concert~上質な時間を貴方に~
笹沼 樹&秋田勇魚 デュオ・コンサート
2025年2月19日(水)東京・銀座 ヤマハホール
開場/開演:13:30/14:00
出演:笹沼樹(チェロ)、秋田勇魚(クラシックギター)
■公演チケット
料金(税込):5,000円(全席指定)
一般発売日:2024年12月7日(土)
■特別プラン
料金(税込):8,000円(先行抽選販売、全席指定、限定数)
アーティストと楽しむパーティーとコンサートチケットのセットプラン
会場:ヤマハ銀座店2F〈NOTES BY YAMAHA(Café Lounge)〉
※特別プランにはコンサートチケット料金・ワンドリンク・プレート代・消費税が含まれます
アーティストと楽しむパーティーとコンサートチケットのセットプランはチケットぴあ先行抽選(プレリザーブ)での販売となります。
結果発表開始日時 2024年11月29日(金)18:00頃から順次
主催:ヤマハ株式会社ヤマハホール
■注意事項
※都合により出演者・曲目が変更になる場合がございます。あらかじめご了承ください
※コンサート会場への未就学児のご入場はご遠慮いただいております
※チケット料金には消費税が含まれております
■プログラム
M. d. ファリャ(笹沼樹&秋田勇魚 編)/歌劇「はかなき人生」第2幕より スペイン舞曲 第1番
E. グラナドス/スペイン舞曲 Op.37 より 第5番 アンダルーサ
A. ウルクズノフ/タンゾロジア
A. ペルト/鏡の中の鏡
R. ニャタリ/チェロとギターのためのソナタ
A. ピアソラ(笹沼樹&秋田勇魚 編)/アヴェ・マリア、アディオス・ノニーノ、オブリビオン
E.ゲバラ/幻想曲より III. カンタラー
(順不同)
■チケット情報
チケットぴあでのご予約・お申し込み
WEBからのお申し込み:https://ticket-search.pia.jp/pia/search_all.do?kw=285-460
Pコード:285-460
一般発売日:2024年12月7日(土)
座席種別:指定席 ※座席選択可能
■お問い合わせ
ヤマハ銀座店
TEL:03-3572-3171(ヤマハ銀座店 インフォメーション)
営業時間:11:00~18:30
定休日:毎週火曜日(祝日の場合は営業いたします)
住所:〒104-0061 東京都中央区銀座7-9-14
アクセス:https://retailing.jp.yamaha.com/shop/ginza.html#access
イベント詳細:https://retailing.jp.yamaha.com/shop/ginza/hall/event/detail?id=6117
PROFILE: 笹沼 樹
学習院大学文学部卒業後、桐朋学園大学大学院修了。現在、仏パリ・エコール・ノルマル音楽院プログラム・エリート在籍。ヴァーツラフ・アダミーラ、堤剛、古川展生らの各氏に師事。室内楽を磯村和英、大山平一郎、山崎伸子らの各氏に師事。ソリストとしては東京交響楽団、東京都交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団などの国内外のオーケストラと共演。室内楽奏者としてはM. アルゲリッチ、ダン・タイ・ソン、M. ヴェンゲーロフ、J. ヴィトマンなどの世界的アーティストと国内外で共演を重ねている。ミュンヘン国際音楽コンクール弦楽四重奏部門第3位入賞および特別賞を受賞(2016年)。ニューヨーク・ヤング・コンサート・アーティスト・オーディション第1位(2019年)。ソリストとしても日本音楽コンクール第1位(2011年)をはじめ輝かしい受賞歴を持つ。2021年度齋藤秀雄メモリアル基金賞を受賞。ラ・ルーチェ弦楽八重奏団、カルテット・アマービレ、Trio Rizzleのメンバー。東京交響楽団客演首席奏者。使用楽器は1771年製C. F. Landorfi(宗次コレクション)。
PROFILE: 秋田勇魚
慶應義塾大学卒業。村治昇らに師事するほか、福田進一、大萩康司など国内外多数のマスタークラスを受講。伊キジアーナ音楽院にてオスカー・ギリアに師事し、2年連続で最終ディプロマを取得したほか、パリ地方音楽院でジェラール・アビトンの元研鑽を積む。台湾国際ギターコンクール審査員特別賞、アルビ国際ギターコンクール優勝など、国内外で受賞を重ねる。若手ギタリストの登竜門〈旬のギタリストを聴く~Hakujuギター・フェスタ2019〉のソリストに抜擢され、満員の会場にて好評を博し、〈ヤマハホール10周年記念Acoustic Guitar Festival Special Concert Vol.1〉に各ジャンルのトップギタリストとともに出演を果たす。その後もハクジュホール、王子ホールなどでのリサイタル、鎌ケ谷市きらりホール主催のリサイタルでは23、24年と2年連続で出演。また、〈L’atelier ISAN〉と題したコンサートシリーズ、コミュニケーションアプリで毎朝音楽が届く〈Morning Routine Music〉やYouTube〈旅ギター〉が好評を博している。NHK-FM「リサイタル・パッシオ」、テレビ朝日「題名のない音楽会」などのメディアに出演。デビューアルバム『AQUARELLE』(日本コロムビア)をリリース、レコード芸術の特選盤に選定される。高い技術と繊細な表現、多彩な音楽性で支持を集めている。