 
世界最高峰のフルート奏者による14枚組の「レガシー」協奏曲集
世界最高峰のフルート奏者であるエマニュエル・パユが14枚組のアルバム『フルート協奏曲&コンチェルタンテ作品集』(ワーナー)を発表した。古典から現代曲まで約40人の作曲家を網羅。パユ自身が「レガシー」と自画自賛する巨大ボックスは、フルートやクラシックの魅力を存分に伝える濃密な内容である。
ヴィヴァルディ、テレマン、J. S. バッハ、ドヴィエンヌ、グルック、プレイエル、ユゴー、モーツァルト、ハイドン、ヴェルディ、チャイコフスキー、ウェーバー、ビゼー、ボルヌ、エルサン、サン=サーンス、プーランク、フォーレ、ニールセン、イベール、ペンデレツキ、ライネッケ、ブゾーニ、武満徹、ダルバヴィ、ピンチャー、グバイドゥーリナ、デスプラ……。
煩雑なのを承知であえてある程度書き出してみたが、今回の協奏曲集で取り上げた作曲家は実に39人。時代や分野、国籍問わず、あらゆる音楽を柔軟かつ規格外のテクニックと表現力で演奏してしまうのがパユのすごさである。
「これまでの協奏曲をまとめ、レガシーにしようと考えました。クラシックのスタンダードから古典、バロック、現代曲まであらゆるジャンルを網羅しています。フルートの奥深さ、レパートリーの可能性を感じて欲しいです」
世界を飛び回る超多忙な演奏活動の中、これだけの一流奏者と共演し、優れたコンサートや録音を企画するのは骨の折れる仕事だ。
「私はCDの録音から編集までフルに関わります。どれも強い思い入れがあり、それぞれ違う音楽家やスタッフと違う作品に取り組んでいます。これらの作品は人間関係から生まれたものです。ジャンルに応じて特別なパートナー、個性を探すことで様々な演奏が可能になり、私も成長して経験や知識を得ることができます」
多彩な作曲家の音楽で自己表現を追求するには何が必要なのか。
「作曲家と演奏家の関係は、戯曲の作者と役者の関係と近い。作曲家と対話しながら自分が一部となり、作曲家の魂を掘り下げ、再現する。すべての人生経験を通じて音楽を見せます」
スマートフォンの普及などで娯楽が多様化する中、クラシック音楽のファン層拡大は重要だ。
「クラシック音楽は深く知る価値がある音楽です。深く知ることで人生が豊かになり、その国の文化を知ることにも繋がります。フルートは私の楽器ですが、楽器はあくまでも一つの媒体であり、声です。聴衆が音楽を聴いて喜びを感じられるよう、歌い、響かせ、過去の音楽をよみがえらせたいです」
 
  
 
           
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
    