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吉原裕也(札幌パルコ店)

TIM BERNARDES 『Mil Coisas Invisíveis』 Psychic Hotline(2022)

今年も札幌の夏はあっという間に終わり、だいぶ肌寒くなってきた頃に届いたブラジルの若き奇才の待望のセカンドアルバム。2017年に発売されたファーストアルバム『Recomeçar』ですぐに彼の虜となり今後の動向に注目と思いつつもあれから5年、すっかり忘れていたところへの南国からのハートウォーミングなアンサンブルポップの曲の数々に再び耳と心を奪われた2022年となりました。デジタルやCDでのリリースもありますが、彼の声や奏でる楽器の音色のきめ細かな抑揚をじっくり奥深く堪能するにはやはりアナログがおすすめな作品。できる限り雑音をシャットアウトし幻想的な音世界に奥深く入り込んでください。個人的にはB面の⑤”Meus 26”~⑥”Falta”が至高のひととき。時間も場所も超越させてくれる美しき逸品です!

 

藤瀬雅文(京都店)

BEACH HOUSE 『Once Twice Melody』 Sub Pop/BIG NOTHING(2022)

今時アナログ4枚組(CDだと2枚組)の超大作とは思い切った作品だな、と思いつつ聴いたビーチ・ハウスの8枚目にして初のセルフプロデュース作品。全4章で構成されるコンセプトアルバムで、アナログだとそれぞれの面が1つの章になっているという構成なので、アナログで聴くと作品の意図がよく分かるし、章ごとに聴くことで一つの物語を読んでいるような感覚を覚える。ドリームポップを主体に、シューゲイズやチルポップで彩られたメランコリックで浮遊感のある現代的なサウンドを有しているが、アルバムの構成や意図が70年代のプログレ的なセンスに溢れた不思議な作品。セルフプロデュースだからこそ到達した、現代のプログレッシブミュージックとも言うべき超大作にして彼らの最高傑作。

 

平林大樹(仙台パルコ店)

edbl, Kazuki Isogai 『The edbl x Kazuki Isogai Sessions』 The College Music/Pヴァイン(2022)

アナログリリース量増加がうれしいこの頃、先日渋谷店限定販売で思わず買ってしまったカールトン&ザ・シューズ『This Heart Of Mine』復刻アナログも改めて聴き惚れる名盤でしたが、2022年は磯貝一樹氏の心地よすぎるネオソウルギターサウンドにどっぷり! 毎作、最高のメロウ&ソウルフルサウンドで楽しませてくれるエドブラックが何と今大注目の日本人ギタリスト、2022年にSANABAGUN.加入も果たした磯貝一樹氏とタッグ。トム・ミッシュ以降のネオソウルギターを奏でる日本人トップクラスのセンスが刺ささりまくる本作、サウスロンドンサウンドど真ん中のこのコラボは相性抜群、文句なしの大傑作です!

 

髙橋直樹(TOWER VINYL)

EZRA COLLECTIVE 『Where I’m Meant To Be』 Partisan/BIG NOTHING(2022)

年代問わずUKジャズのアナログレコードの収集を行っていたつもりでしたが、近年のUKジャズ作品にはあまり触れてこなかったので、反省の意味も込めてエズラ・コレクティヴの新作(セカンドアルバム)を購入しました。コレオソ兄弟(ドラムス/ベース)を中心にソウル、アフロビート、ヒップホップ等、様々なジャンルをバランスよく融合させた新スタイルは、これまで自分が描いていたUKジャズの概念を覆すほど、とてもエキサイティングで衝撃を受けました。間違いなく現代を代表するUKジャズグループの一角で今後の活動も楽しみですね。2020年にリリースされた『Blue Note Re:imagined』(UKジャズミュージシャンたちによる名曲カバー集)でウェイン・ショーターの名曲“Footprints”をカバーしていますので、興味がございましたらそちらもぜひ♪

 

柴野直史(池袋店)

DOMi & JD BECK 『NOT TiGHT』 Apeshit/Blue Note/ユニバーサル(2022)

新星なんて言葉はこれまで何度も聞いてきたが、正に2022年にその名に相応しいデュオが登場した。SNSを中心に展開された素晴らしいテクニックと演奏力で期待値は高まり、このご時世において久々にCDやアナログのリリースをどれだけ待ちわびた事か。そりゃアンダーソン・パークもほっとかない! 名門ブルーノートとの契約も音楽ファンのトピックに。フリージャズをベースにチルヒップホップ的な要素も加わった心地よく優しさ溢れる一枚にとにかく癒されました。“TAKE  A CHANCE”は私の今年のベストソング! 音楽って幸せ♪