Photo by Ryo Mitamura

ausがニューアルバム『Everis』を2023年4月26日(水)にリリースする。

ausがひさびさのニューアルバム『Everis』を、グライムズ、サーストン・ムーア、ススム・ヨコタらの作品をリリースしていることなどで知られるイギリスの老舗レーベル、ロー・レコーディングズ(Lo Recordings)から発表する。ausが新作を発表するのは、『After All』(2008年)以来15年ぶり。

『Everis』は、ストリングス、ピアノ、クラリネット、フルート、声など、さまざまな楽器とエレクトロニクスを組み合わせて、モダンクラシカル、インディー、ジャズ、アバンギャルド、フォークといった異質なジャンルの音楽から抜き出したアイデアを包含した、美しいサウンドスケープ作品だという。プレスリリースには、〈日常生活の振動が、親密なフィールドレコーディング、映画のようなストリングス、穏やかさと鋭さとの間を揺れ動く多彩なエレクトロニカと絡み合い、aus史上最もエモーショナルなアルバムに仕上がりました〉とある。

ausは、2017年に起こった空き巣事件によって、あらゆる楽曲データを盗難されたあと、PC上でのディテールを追求するのではなく、心の奥底に潜む個人的なストーリーから何かを作り出そうと決心したという。携帯電話に記録されていたビデオやフィールドレコーディングを組み合わせ、つながりが消えてしまった記憶の間に音楽のシナプスを作り出すことに取りかかったそうだ。

『Everis』には、自身が主宰するレーベル、FLAUヘニング・シュミート(Henning Schmiedt)や高原久実、ノア(Noah)、ダニー・ノーベリー(Danny Norbury)、エマ・ガトリル(Emma Gatrill)に加えて、親交が深い日本人アーティストのGutevolkと横手ありさ、ECMから作品をリリースしているハルダンゲル・フィドル奏者のベネディクト・モーセス(Benedicte Maurseth)、英国の即興音楽家パチリック・ファーマー(Patrick Farmer)、 オーストリアの音響作家グリム(Glim)、メルボルンのシンガーソングライターであるフランド・サルヴォ(Grand Salvo)ら、多彩なゲストが参加している。

〈ミニマリズムの反転と絵描き歌のようなレイヤリングというアイデアによって、パレットの中で混ぜ合わせられた大量の音の破片〜駅の改札、商店街、空港の滑走路、校舎から聴こえる吹奏楽、旅先で出会った民謡など〜、個人的な記憶に関連する日常の断片が古いアナログ機材を通して有機的に絡み合い、全編アトモスフェリックな美しさを讃えています〉とのことだ。

また、本作から、ファーストシングル“Swim”のミュージックビデオが発表された。

なお、ひさびさの新曲“Until Then”を、10インチシングルCDで英オール・マイ・ソウツ(All My Thoughts)およびFLAUからリリースしたばかり。

失われた記憶、忘れられた出来事、心のアーカイブからの映像を、ノスタルジックで甘美なサウンドスケープへと昇華したという『Everis』。ぜひチェックしてほしい。

 


RELEASE INFORMATION

aus 『Everis』 Lo/FLAU(2023)

リリース日:2023年4月26日(水)
フォーマット:LP/CD/DIGITAL
配信リンク:https://aus.lnk.to/Everis

TRACKLIST
1. Halsar Weiter
2. Landia
3. Past From
4. Steps
5. Make Me Me
6. Flo
7. Swim
8. Memories
9. Further
10. Neanic

 


PROFILE: aus
東京出身。10代の頃から実験映像作品の音楽を手がける。早くから海外で注目を集め、米NYのインディーレーベルよりデビュー。伝説的なレコードショップ、アザー・ミュージックに〈現代のエッジと甘美さ、印象的な歌心をこれほど日本的な方法で融合させたアーティストは他にいない〉と評される。これまでにヨーロッパを中心に世界の35都市でライブを行い、国際的にも注目されるレコードレーベル、FLAUを主宰。米FADER、英i-D、Dummyなどにミックスを提供、現在は香港のインターネットラジオ〈HKCR〉でレジデンスを務める。また、海外アーティストの招聘も積極的に行っており、オーラヴル・アルナルズ(Ólafur Arnalds)やジュリア・ホルター(Julia Holter)、ジュリアナ・バーウィック(Julianna Barwick)、グルーパー(Grouper)らの来日公演を成功させ、静謐でユニークな音楽を紹介するショーケース〈FOUNDLAND〉を継続的にオーガナイズしている。長らく自身の音楽活動は休止していたが、 2022年、「BBC Radio 3」でオーラヴル・アルナルズがニューアルバム『Everis』の収録曲“Neanic”をオンエアー。2023年、セブ・ワイルドブラッド(Seb Wildblood)率いるオール・マイ・ソウツ(All My Thoughts)よりシングル“Until Then”を1月にリリース。