11. JARVIS COCKER “Eyes That Say "I Love You"”
全収録曲のなかで1、2を争うエキセントリックな出来の一曲。パルプ時代からシアトリカルなステージで魅了してきたジャーヴィスの奇妙な仕草が、目の前に浮かんでくるようだ。天邪鬼なストーリーテラーとしての才が健在なことを、デフォルメしまくりの歌唱から窺わせる。
▼ジャーヴィス・コッカーの2009年作『Further Complications』(Rough Trade)
12. DAVID JOHANSEN “Rough On Rats”
ニューヨーク・ドールズからバスター・ポインデクスターまで多様な音楽性とペルソナを使い分けてきたデヴィッド・ヨハンセン。ここではショウマンシップたっぷりに、トム・ウェイツがおどけているかのようなヴォーカル&演奏を披露して、年季の入ったオヤジの貫禄を見せつける。
▼ニューヨーク・ドールズの2011年作『Dancing Backward In High Heels』(429)
13. JASON ISBELL “Now That Your Dollar Bills Have Sprouted Wings”
ドライヴ・バイ・トラッカーズの元ギター&ヴォーカル担当であるジェイソン・イスベルは、ルーズなギターとシャガレたシャウトでサザン・ロック魂を大放出。オルタナ感覚を持ちながら真っ直ぐブルースを迸らせる姿には、ジョン・スペンサーを彷佛とさせるものが!
▼ジェイソン・イスベルの2013年作『Southeastern』(Southeastern)
14. MARC RIBOT “The Last Polka”
NY実験音楽シーンの重鎮ギタリストで、近頃はラテン音楽に傾倒しているマーク・リーボーが創造するのは、まるで映画のワンシーンに流れてきそうな浮世離れしたインスト・ナンバー。物悲しいクラリネットの旋律が、「千夜一夜物語」を思わせる異国情緒を綴っていき……。
▼マーク・リーボーの2014年作『Live At The Village Vanguard』(Pi)
15. ELEANOR FRIEDBERGER “Old Shanghai”
ファイアリー・ファーナセスに加え、ソロ活動にも力を入れているブルックリン在住のエレノア嬢。ここではカーリー・サイモン似の乾いた歌声をドリーミーなオルガンに乗せ、一歩一歩足元を確かめるかのように、丁寧に言葉を紡いでいる。ぜひともライヴで聴いてみたい一曲だ。
▼エレノア・フリードバーガーの2013年作『Personal Record』(Merge)
16. SPARKS “Why Did You Make Me Care?”
45年超えの活動歴を誇る兄弟バンド、スパークスが期待通りのヒネクレ者ぶりを発揮。大仰なシンセとヴォーカルで全編をコッテリと塗り上げていく様は、彼らと交友のあるティム・バートン映画のサントラっぽい雰囲気だ。呪術的な魔力でグイグイ聴き手を誘惑し、病みつきになりそう。
▼スパークスの74年作『Kimono My House』(Island)
17. SWAMP DOGG “America, Here’s My Boy”
50年代から活動を続けるサザン・ソウル歌手のスワンプ・ドッグは、キッド・ロックやDMXがサンプル流用したことでも知られるカルトスターだ。72年に渡るこれまでの人生経験を踏まえ、ベックに代わってメッセージを発信。アメリカに対する思いを一言一言噛み締める。
▼スワンプ・ドッグの70年作『Total Destruction To Your Mind』(Alive Naturalsound/Clink)
18. JACK BLACK “We All Wear Cloaks”
ジャック率いるテネイシャスDの作品をダスト・ブラザーズが手掛けたり、ベック“Sexx Laws”のPVにジャックが出演したり……という縁から『Beck Song Reader』に参戦。芝居じみたキャバレー風のチューンで、コメディアンらしさをアピール!
▼テネイシャスDの2012年作『Rize Of The Fenix』(Columbia)
19. LOUDON WAINWRIGHT III “Do We? We Do”
新作を発表したばかりのウェインライト氏。ルーファスやマーサの父でもあるこの大御所シンガー・ソングライターが歌うのは、ブルージーなカントリーだ。まるで作者不詳の伝承歌みたいなメロディーも手伝って、燻し銀の魅力がたっぷりと。
▼ラウドン・ウェインライトIIIのニュー・アルバム『Haven’t Got The Blues (Yet)』(Propper/429)
20. GABRIEL KAHANE & Y MUSIC “Mutilation Rag”
セイント・ヴィンセントらとのコラボで知られる6人組のYミュージックと、マルチ奏者/シンガーのガブリエル・カハネによる共演曲。ストリングスやクラリネットを使ったこのコミカルなインスト曲は、欧州の古いアニメに似合いそう。
▼ガブリエル・カハネの2014年作『The Ambassador』(Masterworks)