
私と結婚したいと思ってくれる人がいるわけない
――その時期、Negiccoを辞めようと何度も思った人が、なんで変わってきてたんですかね。
「たぶん自信がついてきた。ライブやったあとに、〈どうしよう、辞めなきゃいけない。こんなパフォーマンスじゃダメだ〉ってヘコむことがほぼなくなってきた時期で」
――歌の不安定さがなくなって。
「そうですね、歌にばっかり〈どうしようどうしよう〉ってなるんじゃなくて、周りを見たり、ダンスもうちょっとこうしたらよくなるかなっていうのも意識しながらやれるようになってきたのがそのくらいの時期だったのかな。とにかく、うまくいって楽しいっていうことが繰り返しできるようになってきた時期だったのかな、たぶん。
それもあって、もっとスキルアップしたいっていうのがあって、じゃあ来年からソロを、みたいな感じだったと思います」
――ホントに好きな人たちと好きな音楽を作る活動をマイペースでやれていた感じがするんですよ。
「そうですね」
――ただ、このインタビュー企画ではずっと金銭的な不安や年齢的な不安について毎回言い続けてきたわけじゃないですか。2012年の時点で言ってたわけですけど、あれから10年以上経って、だいぶそのへんはクリアされたんですか?
「うーん……そうですね、とりあえず明日の食べものがないみたいなことはないので」
――その頃はあったんですか(笑)。
「実家で暮らしてたからなかったんですけど(笑)。すごく余裕があるかと言われると余裕はないですし、ホントに最低限のものしか買わないような生活で。子供が生まれたこともあるんですけど。自分のために何か買ったりっていうことは少なくなったかもしれない」
――とはいえ、Negiccoがすごいと思うのは、さっきも3人で並んでると、主婦が3人いるようにはまったく見えなかったんですよ。
「ハハハハハハ! ホントですか?」
――これはなんなんだろうっていう。
「でも、よく言われますね。〈変わらないね〉って」
――相変わらずの呑気な空気感で。
「なんでだろう(笑)」
――もうちょっと所帯じみた感じとか出るものかと思ったら、撮影のとき強風をバリアするために他のメンバーが身体を張ってピョンピョンしてたりで、相変わらずのNegiccoだなと思いました。
「ハハハハハハ! ただ、こないだサイン会でファンの方に〈マダム感が出たね〉って言われて、マダム感ってなんだろうと思いましたけど」
――その辺りの流れもじっくり聞いてみたいんですけど、アイドルグループがオリジナルメンバーで20年続いて、しかも全員が結婚&出産して復帰するという、かなり画期的なことをやってるのは間違いないじゃないですか。ただ、この道を進むまでに迷いは相当あったと思うんですよ。どういう流れで進んでいったんですか?
「Negiccoを続けたいという気持ちはずっとあったので。そのうえで、でもどうする? みたいな。Nao☆ちゃんが最初にパーンと行ってくれたのは大きかった気がします。2018年のインタビューのときは結婚願望なんてぜんぜんなくて、みたいな話をしてたと思うんですけど」
――とりあえず2016年のときは〈いま結婚とかはまったく見えてないし、現実的じゃないから、そこで悩むことはない〉って感じで。
「ホントにそのときはなんにもないというか」
――2018年では「宮城のほうのおばあちゃんには〈いつ就職していつ結婚するんだ〉って言われます」「〈彼氏いないなら紹介するよ〉みたいなことまで親戚に言われて(笑)」「ぜんぜん結婚願望もないんですけど」って言ってました。
「そうそう、そんな感じだったんです。何もない状態だし、結婚って自分とは縁の遠いものだとその時点では思ってたので。そこから急に……結婚したくないわけじゃなかったけど、私としたいと思ってくれる人がいるわけない、みたいな」
――そこにもネガティブさがあった(笑)。
「いまも結婚はしてるんですけど、いまだに結婚してくれたんだなって思うときがあるんですよ、あまりにもいろんなことができなさすぎて大丈夫かなって」
――ホントに感慨深いのが、2011年のT-Palette Recordsの設立会見に出た5人が全員結婚したんだなっていうことで。
「そうですよね、バニラビーンズのリサさんもお子さん生まれたりで」
――独身はボクだけですよ(笑)。
「ハハハハハハ! ……あれ?」
――この置いていかれた感。
「先に先に行きました(笑)」