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フィーリングを頼りに
こう振り返る彼女は2021年夏頃に帰郷し、心機一転、広い空が見えるウォルソールで、家族や昔からの友人と日々接しながら、『falling or flying』に向けて曲作りに着手。まさに昔からの友人をメンバーに擁する無名のプロダクション・デュオが、プロデューサーかつ共同ソングライターとして重要な役割を担った。多くの曲にクレジットされているデイムデイム*である。
「ひとりは15歳の時から仲が良くて、もうひとりも彼女を通じて以前から知っていたんですが、途方もないマジシャンたちで、3人でアルバムを形作る作業は、まるで嵐みたいな、エモーショナルな旅でした。居心地が良くて、みんなで食事をして、何時間もお喋りをして、笑って、歌って、ジャムをして……。私は自分をすごく正直に表現できたし、プレッシャーも皆無でしたね。それに彼女たちは、私がしばらく触れていなかったピアノを弾くように薦めてくれて、おかげで若い頃の自分を取り戻せた気がします」。
また故郷に帰ったことで「自分を信じることができるようになったし、自分を疑うこともなくなった」とも話す彼女は、デイムデイム*以外に、ナイジェリア系英国人のP2J(ゴールドリンク、ビヨンセ他)やニュー・マシーンことアイルランド出身のアダム・ジョーダン(マヴェリック・セイバー、コージェイ・ラディカル他)を起用して、コラボレーターを刷新。やはりウォルソール出身だという幼馴染みのシンガー・ソングライター、ウェズリー・ジョゼフの参加も得た。
「当初は明確なアイデアはなくてフィーリングを頼りにし、流れに任せたんです。何かをやってみて〈これは正しいな〉と確信を持てたら、その方向に進むという具合に」。