マック・アヴェニュー・レコードが、10年前にレーベルとして最初に契約した本格的なアーティストが、ショーン・ジョーンズ(tp)である。以後、マック・アヴェニューは、クリスチャン・マクブライド(b)、ゲイリー・バートン(vib)らビッグ・ネームと契約し、メジャー・レーベルとなる。そして、ジョーンズも、本作まで7枚のアルバムをリリース、現在もマック・アヴェニューの中核を担っている。まさにレーベルの発展と、ジョーンズのアーティストとしての成熟は、同軌を描いている。
2004年から、ウィントン・マルサリス(tp)に乞われてJazz at Lincoln Center Orchetraのリード・トランペットの座についたジョーンズは、2010年までそのポジションにあり、数々の名演を繰り広げてきた。近年ジョーンズは、ウェイン・ショーター(ts)とハービー・ハンコック(p)のマイルス・デイヴィス(tp)・トリビュート・プロジェクト に参加して刺激を受け、自らの原点回帰を試みたのが本作である。ゲスト・プレイヤーはなし、10年前から行動を共にしているオリン・エヴァンス(p)、ルーカス・カーティス(b)、オベッド・カルヴァイア(ds)のレギュラー・クァルテットで、オーヴァー・ダヴィングをせず、ワン・ルームでの一発録音という、50年代のジャズ録音を再現したスタイルにこだわった。スウィング、ブルース、バラードとストレート・アヘッド・ジャズの王道をゆくジョーンズのオリジナル6曲に、エヴァンスのオリジナル1曲、ジャッキー・マックリーン(as)の《Dr. Jekyll》、母に捧げたステファン・ソンドハイムの《Not While I'm Around》、白熱のジャム・セッションの《How High The Moon》など、緊密なインター・プレイで、往時のジャズのHot&Coolを現代に再現している。