SSJレーベルの「ジャズ・レジェンド・イン・ヨーロッパ」シリーズ第2弾3作が8月20日にリリースされる。セロニアス・モンクの『スカンジナビアン・ブルー・1966』は、オスロとコペンハーゲンでのライヴ。当時のモンクの愛奏曲《ルルズ・バック・イン・タウン》が2テイク収録され、コペンハーゲンのテイクが2分以上長いあたりがおもしろい。他にも《ブルー・モンク》《ラウンド・アバウト・ミッドナイト》などのモンクス・クラシックが演奏されている。

THELONIOUS MONK スカンジナビアン・ブルー・1966 SSJ(2014)

【参考動画】セロニアス・モンク・クァルテットの66年ポーランドでのパフォーマンス

 

 オスカー・ピーターソン『ザ・レア・1971・トリオ・セッション』はロンドンで収録されたもの。ジョージ・ムラーツ(b)、レイ・プライス(ds)とのトリオは70年から71年にかけての半年ほどしか存続せず、録音も少ないのでこのリリースは貴重だ。ムラーツの品位の高いベースと、ヴァイタルにドライヴするプライスのドラムスを得て、ピーターソンが快調にスウィングしている。特に《レッツ・フォール・イン・ラヴ》《キュート》の乗り具合がすさまじい。

OSCAR PETERSON ザ・レア・1971・トリオ・セッション SSJ(2014)

【参考音源】オスカー・ピーターソン・トリオによる“Body And Soul”71年のライヴ演奏

 

 そしてアル・コーンズート・シムズの『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』は、74年11月にスウェーデンのマルメで収録されたライヴ。コーンはテナーだけ、シムズはテナーとソプラノを吹いていて、スタンダードを中心とした演奏が楽しめる。ホレス・パーランのピアノが《ポルカ・ドッツ・アンド・ムーンビームス》でたっぷり聴けるのもうれしい。しかしアルとズートのテナーは本当によく似てますね。

AL COHN & ZOOT SIMS マイ・ファニー・ヴァレンタイン SSJ(2014)

 【参考動画】アル・コーン&ズート・シムズによる68年のパフォーマンス

 

 なお、SSJからは、「ヴォーカル・レガシー・シリーズ」第10弾として、キャロル・スローンガーシュイン曲集『バット・ナット・フォー・ミー』も同日に発売される。これは86年に当時のCBSソニーが制作したもの。トミー・フラナガン~ムラーツ~アル・フォスターという最高のリズム隊にフランク・ウェスのテナーとフルートを得ての、円熟の極みというべきスローンの名唱が堪能できる。

CAROL SLOANE,TOMMY FLANAGAN バット・ナット・フォー・ミー SSJ(1986)

【参考動画】キャロル・スローンによる“But Not For Me”