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歴史的な大作『Music Box』から繋がる多彩な音楽作品たち

MARY J. BLIGE 『What’s The 411?』 Uptown/MCA(1992)

当時〈ヒップホップ・ソウル〉を掲げて脚光を浴びた、後の女王のデビュー作。ここで“You Remind Me”を手掛けたデイヴ・ホール、“Real Love”を手掛けたコリー・ルーニー&マーク・モラレスといった立役者が揃って『Music Box』に招かれているのは興味深い。

 

THE EMOTIONS 『Untouched』 Stax(1971)

名ソウル・グループのスタックス時代の作品。ここからビッグ・ダディ・ケイン“Ain’t No Half-Steppin’”などを通じて定番ネタとなっていた“Blind Alley”をマライアも“Dreamlover”で使っているが、前作の“Emotions”でオマージュした流れも踏まえて気が利いている。

 

WHITNEY HOUSTON 『The Bodyguard』 Arista(1992)

93年の2月まで14週連続で全米1位に君臨したホイットニー・ヒューストン“I Will Always Love You”を含む名サントラ。“I’m Every Woman”などC&Cによる都会的なダンス曲、アファナシエフやベイビーフェイスの仕事が並ぶバランスは『Music Box』的でもある。

 

CELINE DION 『Celine Dion』 Columbia(1992)

『Music Box』前後のウォルター・アファナシエフは絶好調だった。セリーヌ・ディオンの2枚目の英語アルバムだった本作では大ヒットした「美女と野獣」の主題歌も含む半数ほどの楽曲を手掛け、次作『The Colour Of My Love』(93年)での大躍進に導くことになる。

 

TAYLOR DAYNE 『Soul Dancing』 Arista/Cherry Pop(1993)

80年代後半からダンス・ポップやバラードのヒットを連発し、リック・ウェイク主導のコンテンポラリーな作風を初期マライアも参照したと思われるNY出身のシンガー。『Music Box』と同年に出た本作ではC&Cらを制作に迎えたソウルフルな路線で聴かせる。

 

HARRY NILSSON 『Nilsson Schmilsson』 RCA Victor(1971)

バッドフィンガーが70年に発表し、ニルソンの名唱が全米1位を獲得した“Without You”。マライアのカヴァーは彼女が幼い頃に聴いていた後者に基づくもので、マライア版が『Music Box』からシングル・カットされたのは偶然にもニルソンが急逝した1週間後だった。

 

BABYFACE 『A Collection Of His Greatest Hits』 Epic(2000)

マライアと手合わせした童顔の93年は、トニ・ブラクストンやテヴィン・キャンベルに名曲を授けつつ、自身のシンガーとしての代表作『For The Cool In You』を送り出した年でもあった。この後マライアは彼の“Every Time I Close My Eyes”にコーラス参加している。

 

中山美穂 『All Time Best』 キング(2020)

音楽活動にも力を入れていた彼女が主演ドラマの主題歌としてしっとり歌い上げたシングル“HERO”(94年)は、自身の日本語詞によるマライア“Hero”のカヴァー。日本だけで200万枚単位のセールスを記録していた当時のマライア現象を象徴する一例とも言える。