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デモCD-Rや自主制作盤の世界

――他にもどんなCDが印象に残ってますか?

「RIOW ARAI+ツジコノリコの『J』(2005年)なんかも好きですね。あと関西のアンダーグラウンドな電子音楽のシーンで、MC Frosen Pineさんの『ユーノームセイン?』(2006年)とか、めっちゃ良いアルバムですね。当時JET SETでも話題になってたし、高校生の自分がリミックスさせて貰ったりもしました。それからspeedometer.さんとイルリメさんのユニット、SPDILLの『How To Feel The Empty Hours?』(2004年)。ジャケットがまずカッコいいですね。

あと関西ではないですが、ECD+イリシット・ツボイ+久下惠生の『session impossible』(2004年)。高円寺・円盤からのリリースですけど、これも当時めっちゃ好きやったなーと。やっぱりこういう、自主制作っぽいものは、CDだからこそリリースしやすかったのかな、っていうのはあると思いますね」

――当時買ったCDが今でもこれだけ残ってて、ほんまに物持ち良いですよね。

「CDを買うと特典で付いてくるCD-Rなんかもまだ持ってますね(笑)。レコードを買っておまけでレコードが付いてくることってないじゃないですか? でもCDは、CDがおまけで付いてくることがあったのが面白いですよね。SUMMITのイベントで配られてたCDとかもまだありますね。

あと今ならデータで送るのが当たり前ですけど、昔はリミックスの素材とか音源もCD-Rでやり取りしてましたよね。オカダさん(okadada)に最初に貰ったデモなんかもあります」

――盤に〈DEMO オカダ〉って書いてありますね(笑)。

「橋本環奈さんのいたRev. from DVL(福岡のアイドルグループ)のCDとか、レコード会社で貰った◯◯◯◯◯のサンプル盤とか、こういうのも今でも持ってますね(笑)」

 

歴史に埋もれたJ-CLUBの時代

――トーフさんの新作『NOBODY』に絡めた話も聞きたいんですけど、インタビューなどで〈J-CLUB〉をテーマにした作品だ、ということを仰ってますよね。そもそもJ-CLUBって何?って人もいると思うんですけど。

「確かに、レンタル屋に行ったことがない、っていう世代だとピンと来ないかも知れないですね」

tofubeats 『NOBODY』 unBORDE(2024)

――TSUTAYAなどのレンタル店やCDショップの棚に〈J-POP〉とか〈演歌〉〈洋楽〉みたいな感じで〈J-CLUB〉というコーナーがあった、っていうことですよね。90年代末~2000年代の、日本で活躍しているDJやプロデューサーで、CMやテレビでも使われるようなある種のポップさやメロディーが曲にあって、歌手やアイドルのリミックスも手掛けるようなタイプの人のCDが並んでた、という。

「クラブミュージック風J-POP、あるいはJ-POP風クラブミュージックの総称、みたいな。ヴィレヴァンとかにもコーナーがありましたよね。

あと当時のクラブって、J-POPとか邦楽をかけるのはちょっと……っていう空気がまだまだありましたよね。だからクラブミュージック内の棲み分けが今より厳密だったというか、その緩衝地帯として〈J-CLUB〉というカテゴリーがあったのかなと、今となっては思いますね」

――CDもJ-CLUBもピンと来ない若い子には、ニュアンスが伝わりにくいかも知れませんね。

「クラブで日本語の曲をかけるのがご法度だった、っていうこと自体、今ではよくわからないですよね。あとJ-CLUBとカラゴライズされることを良しとしない人もいたと思いますし」

――ちなみにJ-CLUB的なセンスで、おすすめのCDを挙げるとしたら何になりますか?

「リア・ディゾンの『Destiny Line』(2007年)ですね。中田ヤスタカさんのリミックスも入ってる、当時のJ-CLUB名盤として、自分と(オノマトペ)大臣の胸に今も刻まれてますね。

曲で言えば宇多田ヒカル“DISTANCE (m-flo remix)”(2001年のシングル『FINAL DISTANCE』収録曲)とかもそうですね。J-CLUBど真ん中からはちょっとズレますけどgütのコンピ(96年作『güt güt』)とかも好きでしたね」

――坂本龍一主宰のレーベルで、GEISHA GIRLSやテイ(・トウワ)さんの作品もリリースしてたレーベルですね。

「あとJ-CLUB的な所からはまた外れるんですけど、ブートのリミックスやエディットのCD-Rなんかは今でも手元にありますね」

――今だったらSoundCloudやYouTubeにアップされるんでしょうけど、当時のトラックメイカーはそういうのをCD-Rに焼いて配ってたんですよね。当然、ストリーミングでも聴けないし、作った本人も忘れてそうな音源で、歴史に埋もれてる感じもあります。

「そうそう。それから、ドメスティックな電子音楽、特に2000年代の関西のシーンだったり、そういう人たちの活動や当時のCDは、自分の中ではデカいですね。さっき言ったspeedometer.さんだったり、このイルリメさんの『鴎インザハウス』(2003年)だったり。

今回のEPについて〈J-CLUB〉って言ってるのも、チョケて言ってる部分はあって。広く、日本の打ち込みの音楽全般に影響を受けてる、っていう感じですよね」