小説家、文芸評論家、音楽評論家、音楽レーベルHEADZの代表と多面的な活動を繰り広げる佐々木敦による坂本龍一論。1975年にスタジオ・ミュージシャンとしてのキャリアをスタートさせ2023年に亡くなるまでおよそ半世紀におよぶ坂本龍一の音楽活動。その膨大な活動を一冊にまとめて批評する事自体、没後の余波のなかでは困難な作業となる。本書は、はじめとおわりに、佐々木敦と坂本龍一の関わりを書いた章が本文を挟む構成になっているが、非常に美しいテクストで感動する。教授以前の坂本龍一にはじまり、YMOの活動、『音楽図鑑』の時代、そして晩年の活動を全6章で見事に語った一冊。