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イージーリスニングでは人生は変わらない

――青柳さんの最新作『海のなかの湖』はギターのインスト作品ですけど、ブックレットにはそれぞれの楽曲に対応したエッセイ・短編がついています。どうしてこうした構成になったのでしょうか。

※2024年7月にリリースされた、青柳拓次にとって初のソロギター作品。ブックレットには楽曲と同タイトルの14遍の短編小説が掲載されている

青柳拓次 『海のなかの湖』 nagalu(2024)

青柳「レーベルの方が小説を書いてみませんかと提案してくださって……(笑)。最初はそのつもりもなくて、ギター1本で弾いたものを出そうと考えてたんですけど。ただ、曲のタイトルに対して音楽は音楽で表現し、文章は文章で表現した感じで、音楽と文章が直接リンクしているわけではないんです」

――音を聴きながら青柳さんの言葉を読むという行為そのものがすごくおもしろい体験でした。言葉から浮かんできたイメージをギターのメロディーに勝手に重ね合わせていくことで、新しい風景が浮かび上がってくるような感覚がありました。

青柳「ありがとうございます。もしかしたらこういうCDの形態でのリリースも今回が最後かもしれないなと思いながらレコーディングに向かっていたところもあって。今回のようなフィジカルのリリースにしろ、ライブ演奏にしろ、モノとしての質感やその場所の空気と共に体験すると強烈なものになると思うんですよ。サブスクで単純に音だけを聴くのとは体験として違うし、そこは未だに大事だとも思っています」

――『現象 hyphenated』も今度アナログとしてリリースされますよね。

山崎「そうですね。ヴァイナルは針で再現するアナログなやり方なのに、デジタルよりも生で演奏している状態に近いと感じているんですよ。その意味でヴァイナルにした部分もありますね。フィジカルが必要ない時代、あえてフィジカルにするのも時代に抗っている部分であったり」

――大きなジャケットを手にしながらアナログで聴くという体験もまた、サブスクでカジュアルに聴くのとは異なる音楽体験ですよね。

山崎「そうですね。サブスクは僕も重宝してますけど、それが世界のすべてではないと思っています。絵画にしたって、ネットで画像を見て分かったつもりになるのは危ない。筆圧なんかは現物を見ないとわからないし、そこから作品の背後に広がるその人の人生も見えてくる。そういうものに触れると、自分はまだまだ甘いなと思っちゃうんですよ。音楽にも音以上の何かが込められているし、そこから伝わってくる生き様に俺は鼓舞されるんです」

――なるほど。

山崎「サブスクの再生回数が何回だ、月間リスナーが何十万人だといっても、その人の人生は変わらない。一回の再生の聴き方に問題があると思うんですよ。イージーリスニングしただけだと人生は変わらない。俺のことを強烈に愛してくれる人がひとりでもいたら俺の人生は変わるんですよね。実体験の1とイージーリスニングの1はイーブンじゃない」

――BOOKWORMだってそうですよね。ひとつの空間で言葉を共有し、体験を共有したからこそ、多くの人たちの記憶の中に残ってきたわけで。

山崎「そうですね。僕はあまり器用なことができないので、黒か白しかできない。なので、漆黒になってやろうと思っています。そうすれば、誰かのタバスコにはなれるんじゃないかと思っているんですよ」

 


RELEASE INFORMATION

F.I.B JOURNAL 『現象 hyphenated』 fooop/felicity(2024)

■12インチLP
リリース日:2025年4月12日(土)
品番:FPVL-0001
フォーマット:12inch LP / 35rpm
価格:4,500円(税別)

TRACKLIST
- side A -
1. 木を知る - I know the tree
2. 君の選択 - What do you want to do
3. 水たまりが空を映した - Sky in a puddle
4. 言葉にならない言葉を見つけてそれを名付ける - Name it

- side B -
5. あなたを理解する - Understand you
6. 答えも人と同じように老いる - Dead old answers
7. 言葉はそれを映す - Mirrors that reflect
8. 川が重なる - River is us
9. 光が差し込むのはきっとそこから - Find the light?

■デジタル配信
リリース日:2024年11月20日(水)
フォーマット:デジタル配信
配信リンク:https://album.link/jp/i/1778173633

TRACKLIST
1. 木を知る - I know the tree
2. 君の選択 - What do you want to do
3. 水たまりが空を映した - Sky in a puddle
4. 言葉にならない言葉を見つけてそれを名付ける - Name it
5. あなたを理解する - Understand you
6. 答えも人と同じように老いる - Dead old answers
7. 言葉はそれを映す - Mirrors that reflect
8. 川が重なる - River is us
9. 光が差し込むのはきっとそこから - Find the light?

■メンバー
ー F.I.B JOURNAL ー
山崎円城(ボーカル+ギター)
沼直也(ドラムス)
真船勝博(ウッドベース)

ー Guest Musician ー
武田カオリ(ボーカル)TICA
Little Woody(ウッドベース)
金津朋幸(サックス)
icchie(トランペット・トロンボーン)YOSSY LITTLE NOISE WEAVER
斎藤裕子(バイオリン)acoustic dub messengers
手島絵里子(ビオラ)
ハタヤテツヤ(ピアノ)

Recording & Mastering : 谷澤一輝
Translation : 下野穣
Support : 茂田正和(OSAJI)

Photo : 小松原英介

 

EVENT INFORMATION
現象 hyphenated レコード試聴会

2025年4月4日(金)東京・上野 HENGEN
第1部:12:00~14:00(トークセッション 13:00~)
第2部:19:00~21:00(トークセッション 20:00~)
参加費:1,500円(税込)1ドリンク/軽食込み
予約サイト:https://fooopprojects01.peatix.com/

LIVE INFORMATION
現象 hyphenated リリースツアー

2025年4月20日(日)神奈川・横浜 サムズアップ Chit-Chat21周年
2025年5月11日(日)静岡 Bell Store
2025年6月4日(水)広島 Live Cafe Jive
2025年6月5日(木)宮崎 YARD
2025年6月6日(金)熊本 tsukimi
2025年6月7日(土)長崎・佐世保 サセボノオト
2025年6月8日(日)福岡・春吉 TAGSTÅ
2025年6月9日(月)岡山 LIVEHOUSE BIRD
2025年6月21日(土)千葉・いすみ Forest Jam
2025年6月22日(日)茨城・水戸 Studio raw
2025年10月18日(土)神奈川・横浜 白楽 ヤミ市
2025年11月1日(土)新潟 ヨリネスしばた

 


PROFILE: F.I.B JOURNAL
2023年に結成20年を迎えた国内屈指のポエトリージャズバンド。2003年、山崎円城のソロとしてデビュー。2005年からEGO-WRAPPIN’のサポートベーシストとして活動する真船勝博、ドラマーの沼直也が加入し、トリオ編成に。現在までに7枚のフルアルバム、音楽ユニットTICAの武田カオリをボーカルに迎えた1枚の計8枚のアルバムを発表している。近作は過去の楽曲のフレーズの一部をサンプリング・コラージュして再構築した”This is GHOST”(2023年)、2024年11月には6年ぶりのニューアルバム『現象 hyphenated』をリリースした。2025年4月に同作のアナログをリリースする。

PROFILE: 青柳拓次