独自のサイケポップ道を歩む本日休演、脆い青春感が瑞々しい新鋭・天国旅行
本日休演は2012年に京都で結成され、10年以上活動を続けている。初期から編成は変わりつつも、現在のメンバーは岩出拓十郎(ギター/ボーカル)、有泉慧(ベース)、樋口拓美(ドラムス)のトリオ。これまでに『本日休演』(2014年)、『けむをまけ』(2015年)、『アイラブユー』(2018年)、『MOOD』(2021年)と4作のアルバムを発表してきた。
『MOOD』では中村宗一郎との共同作業でドロドロになる手前で踏みとどまるポップなサイケデリックロック、独自の音響構築に邁進し、スリーピースでの新境地を切り開いた。また以前から偏愛していたグナワのリズム、ヒップホップやR&Bからの影響を反映させたグルーヴに取り組みながら、低域に寄ったクセのある岩出の歌声は変わらぬ魅力を放っている。そんな本日休演だが、ただしライブでは爆発力と瞬発力で魅せる瞬間もあり、ステージからは目が離せない。現在は新作を制作中だとのことで、現在のライブは新曲を含む演奏が聴けるはず。
天国旅行は田澤寿詩(ボーカル/ギター)の宅録プロジェクトとして2018年にスタート、現在は室崎智(ギター)、室井晴人(ベース)、今村岳(ドラムス)を加えた北海道・札幌の4人組。NEWFOLKのバンドたちに憧れを抱いてきた、というニューカマーだ。
『キッズ・アー・オールライト』(2021年)、『くたばれ』(2022年)、『TOUGHNESS ROMANTIC』(2024年)とすでに3枚もアルバムをリリースしており、ストレートなガレージロック/パンクサウンドの中には田澤ならではのロマンティシズムと歌心が横溢した音楽性はNEWFOLKに迎え入れられたのも納得できるもの。GOING STEADY/銀杏BOYZを思い出さなくもない脆い青春感は瑞々しく、ライブでのシャウトも真に迫る。
台風クラブにしろ家主にしろ本日休演にしろ天国旅行にしろ、それぞれ一筋縄ではいかないアクの強さがありながらも、なんというか……音楽の中で素っ裸になっているかのような愚直さが共通しているように感じる。田中ヤコブは家主の活動を「草野球」「趣味」とかつて言ったが、だからこそやりたいこと、好きなこと、自分たちだけの表現を突き詰めて本気で臨む、手は一切抜かない、という覚悟がある。NEWFOLKのバンドたちには、そんな共通項があるように思える。
前野健太とand Young...、そしてDJを担う入岡佑樹(Super VHS)
そしてシンガーソングライター前野健太は『ワイチャイ』(2022年)、『営業中』(2024年)という近作を自主レーベルromance recordsから発表している。『営業中』は名盤『さみしいだけ』(2009年)以来15年ぶりにマエケン1人による多重録音で制作、日常と生活、市井の人々への眼差しをもとに綴った生々しい歌を収めている。先日、東京・吉祥寺MANDA-LA2で朝・昼・夕・夜に演奏するユニークなライブ〈出勤〉を4月に開催することを発表、近年は俳優としても注目を集めており、独自のキャリアを歩んでいる。
大阪のバンドand Young...は1999年に結成、加納良英(ボーカル/ギター)、村上順也(ギター)、山田哲(ドラムス)からなるベースレストリオ。〈永遠のオルタナチヴ〉を標榜し、ささくれだったギターサウンド、ロマンティシズムと詩情が滲んだ加納の歌で魅せるライブ活動により、長きにわたってリスペクトを集めている。
DJを務める入岡佑樹は、Super VHSの中心人物として知られている。Super VHSは2019年にmei eharaをボーカリストとして迎えたシングル“魚の恋”、さらに2ndアルバム『Theoria』をNEWFOLKからリリース。ニューウェーブ、シンセポップなどへの愛情を注いだ偏執的なシンセサウンド、軽妙なエキゾティシズム、構築的なバンドアンサンブルが際立っていた『Theoria』は、素晴らしい完成度の高さだった。そんなSuper VHSの入岡はレコード好きであり、「レコード・コレクターズ」で執筆もおこなっているヘビーリスナーだけにマニアックな選曲を聴かせてくれそうだ。