
オシャレハウスをかけていたDJがCDオンリーに至るまで
――そもそも、デラさんが最初に買ったCDは何ですか?
「ライファーズ・グループという、アメリカのヒップホップグループのアルバム(『Living Proof』)ですね。〈終身刑の囚人ラッパーが獄中で録音したラップだ!〉ってテレビで紹介されていて、面白そうだなと思って。
それと、短冊で買ったのは、GEISHA GIRLSの『Kick & Loud』(『Grandma Is Still Alive』)。トラックがカッコ良かったですねえ。6つ上の兄がヒップホップやR&Bが好きで、その影響を受けてましたね」
――J-POPやロックではなく、いきなりラップだったのは、かなり大人びてますよね。
「同級生とはあまり話が合わなかった(笑)。CDはアメリカンウェーブっていう、地元・岩手のローカルな量販店とかで買っていました」
――そこから進学で上京されて、DJ活動を始めたとか。世代的には、90年代後半の、日本のクラブカルチャーの成熟期ですよね。
「そうですね。もっぱら小箱で、三軒茶屋のChromeっていう店とかで回してて、そこから徐々に声がかかるようになって」
――その頃はレコードでDJされていたんですよね。
「周りもそういうDJばかりでしたが、当時はレコード原理主義者というか(笑)。それに、その頃はレコードが安かったんですよ。今、レア盤と呼ばれているようなものが、100円で投げ売りされていましたね」


――当時はCDではなく、レコードが100円だった、と。「100円CDガイドブック①」の巻末のインタビューでも触れられてますけど、昔のデラさんは正統派のハウス~ヒップホップ系DJだったんですよね。
「デヴィッド・モラレスとかマスターズ・アット・ワークとか、ニューヨークのオシャレなハウスとかをかけてましたよ!」
――クラブがもっとオシャレで、スノッブだった時代ですよね。
「DJの上下関係も、今より体育会系で厳しかったですからね。〈デラ、何でそんな曲かけるんだよ〉とか、怖い先輩に言われて(笑)。で、DJを続ける内に、そういう当時のクラブ文化の空気や、レコード原理主義的な所にだんだん疲れてきちゃって。
そんな時、中古屋で『ラップ憲法』のCDに出会って、アブストラクトヒップホップみたいで衝撃を受けたんです。CDってクラブ文化の中ではレコードに比べて下に見られてたんですけど、CDでしか手に入らない面白い音源っていっぱいあるんですよね。それに気づいてから、だんだんレコードではなくCDを買うようになりました。
DJでも、レコードとCDを混ぜてプレイするようになって、最初はやっぱり先輩DJから〈何やってんだ〉って言われるんですけど、その内面白がってくれる人も増えてきて、今のCDオンリーのDJスタイルに至るって感じですね」
1996年リリースのラップ憲法。某予備校の制作盤だが、若者にも親しみやすい暗記法を何とか作り出そう!といった講師陣の情熱が深すぎるあまり、ヒップホップの真髄を突き抜けたドープさに図らずも到達。眠たい目をこすりながら聞けば確実に夢に出てくる、学習効果バツグンの100円名盤。 pic.twitter.com/9bFHn2VlNT
— デラ (@derax456) October 10, 2019