一貫したヴィジョン
その一方でキャンセル・カルチャーに警鐘を鳴らす“CANCELLED!”(不仲説のあるブレイク・ライヴリーに密かに手を差し伸べているかのようでも?)のような現代的なトピックにも触れ、腹黒い知人についての“Actually Romantic”は、『Reputation』時代を思わせる、いわゆるリヴェンジ・ソングを投下(一時期交際していたThe 1975のマシュー・ヒーリーのバンドメイト、ジョージ・ダニエルの妻であるチャーリーxcxへの当てつけという見方が濃厚?)。また、“Wood”で飛び出す優等生らしからぬ性的ジョークは、何かと接点の多い後輩サブリナ・カーペンターの影響ではないかと思われる。そのサブリナはアルバムに唯一のゲストとして招かれ、タイトル曲“The Life Of A Showgirl”でデュエットを披露している。
“Farther Figure”に87年の同名ヒットを引用されたジョージ・マイケルを除けば、アルバム全曲のソングライト/プロデュースのクレジットには彼女とマックス・マーティン、シェルバックの3人の名しか見当たらない。ずっと密な関係にあったジャック・アントノフが関与していないのはやや意外だが、それだけ統一したコンセプトに則ったアルバムということだろう。さまざまなコスチュームを身に着けてショーガールを演じるMVや、マート&マーカスが手掛けた一連のヴィジュアルからも一貫したヴィジョンが窺える。艶やかに着飾っているのは、もしかして自身のウェディングを計画するなかでインスパイアされたのかも、などと勘ぐったり。それこそ彼女のことだから、結婚式にインスパイアされたウェディング・アルバムなんてのを準備していたとしても不思議はないだろう。妻となり、家庭を持った時には、一体どんな歌を届けてくれるのかも、いまから気になって仕方がない。 *村上ひさし
左から、サブリナ・カーペンターの2025年作『Man's Best Friend』(Island)、テイラーが客演したグレイシー・エイブラムスの2024年作『The Secret Of Us』(Interscope)、ナショナルの2023年作『First Two Pages Of Frankenstein』(4AD)
テイラー・スウィフトの近作。
左から、2022年作『Midnights』、2023年作『Speak Now(Taylor's Version)』『1989(Taylor's Version)』、2024年作『The Tortured Poets Departm ent』(すべてRepublic)