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田中優軌(池袋店)

RADWIMPS 『あにゅー』 Muzintom/EMI/ユニバーサル(2025)

RADWIMPS約4年ぶりのニューアルバム。アルバムのリリースが解禁された時はメジャーデビュー20周年というタイミングから、ベストアルバムのような内容を想像していました。

しかし今作のタイトルは意外にも『あにゅー』。そしてCDプレイヤーから流れてきたのは真新しいRADWIMPSでした。

ただ、文字通り『あにゆー』を〈Anew〉〈新しい〉と受け取ってしまうには勿体ないもの、〈新しい〉という日本語の解釈が広がるようなものもサウンド、歌詞から感じました。

まず今回はタイアップ曲が“命題”“賜物”“ピアフ”の3曲と、近年のアルバムに比べ少な目。しかしこのタイアップ曲がとても強い。個人的にはこの3曲が今作の土台となり、他の収録曲が自由に飛び跳ねているような印象です。

“ワールドエンドガールフレンド”の浮遊感のある恋の歌。“まーふぁか”の重いバンドサウンドと疾走感。“MOUNTAIN VANILLA”の平成ロックバンドファン胸アツな歌詞。“筆舌”は自分の人生史と他人との結びつきを示す、これぞRADWIMPSな楽曲。

などなど全12曲、どれも新鮮で濃い。20周年目前であったバンドの危機、脆さをこのアルバムで塗り替えるような、まさにRAD(いかした)WIMPS(びびり、弱虫)の名を体現したアルバムでした。根底で鳴るバンドの音は変わらないまま、新しく変わる、美しい矛盾を体験できた今年のベストアルバムです。

 

元山侑紀(情報システム2部)

ピーナッツくん 『Tele倶楽部II』 ピーナッツくん(2025)

VTuberであり、ラッパーでもあるピーナッツくんの5thアルバム。2ndアルバム『Tele倶楽部』が好きでよく聴いていましたが、まさかの〈II〉!

前作は〈VTuber〉をコンセプトに掲げており、実際にアルバムの多くの曲でVTuberとコラボしていたので、〈今回はどんなVTuberとコラボするのかな〜〉と思っていたら、Vtuberだけでなく、〈え!? あの!?〉となるような錚々たるメンバーがジャンルを超えて参戦。

今作は〈プロム〉(アメリカなどで行われる卒業前のダンスパーティ)をテーマに、〈愛にまつわるすったもんだ〉を描いた作品で、特に3曲目、“Stop Motion(feat. 魔界ノりりむ)”が良い。人選が大正解すぎる! ピーナッツくんと、にじさんじ所属のVTuber、魔界ノりりむのキャラクターが見事にハマっている。そして多幸感があって泣きそうになるtofubeatsのトラック。会話パートからのラップも好き。聴いただけで映像が浮かんでくる曲は名曲だと思います。

そして4曲目、”できたらいいな(feat. 漢 a.k.a. GAMI)”。漢さんのボス感がすごい。魔界ノりりむと漢さんが並ぶアルバムなんて、ほぼ間違いなく今後出てくることはないと思う。こんなことができるのもピーナッツくんの表現の幅の広さゆえ。

10曲目の”Small Soldiers(feat. PUNPEE)”もめちゃくちゃかっこいい。ピーナッツくんのラッパーとしてのスキルを感じられる1曲。

どの曲も名曲揃いで、VTuber/キャラクターとしての一面と、ヒップホップアーティスト/ラッパーとしての一面の両方を持つピーナッツくんにしか作れない、唯一無二の名作だと思います。これからも〈攻め続ける〉ピーナッツくんから目が離せません(バーチャルライブ〈PQ〉、観ました。とんでもなかったです)。