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©Peter Anderson

実を結んだ奮闘の記録

 そして目玉となるのが、初出のデモ音源や別テイク、未発表曲を18曲も詰め込んだDisc-4だろう。ジャム解散前にあたる82年8月録音の“Long Hot Summer (Pre TSC Demo)”をはじめ、ライヴ音源でのみ残されていた陽気な佳曲“Up For Grabs”のデモ、トレイシー・ソーンが歌う“The Paris Match”のロング・ヴァージョン、トレイシー(・ヤング)に提供した“Boy Hairdresser”のウェラー版……と秘蔵音源だらけで、それ以外にもアルバム各曲のデモや別ヴァージョンが満載されている。

 さらにライヴ音源を集めたDisc-5〜6もエキサイティングで、83年の5〜12月にBBCで録音/放送された計13曲に加え、84年3月14日のロンドン公演から12曲、同10日のチッペンハム公演から12曲が収録。先述の“Up For Grabs”をはじめ、ジミー・ヤングの“Times Are Tight”、インプレッションズ“Meeting Over Yonder”、チェアメン・オブ・ザ・ボード“Hanging On To A Memory”といったライヴ音源のみのカヴァー群も楽しく、コーラスやホーン隊も交えたバンドならではの賑やかさや爽快な勢いが感じられる。

 そのようにして当時のウェラーが自由に創作を進めた『Café Bleu』は見事に全英2位という成功を収め、TSCはUSツアーも敢行したほか、来日公演でも人気を博した。そこから85年の次作『Our Favourite Shop』に至るまでの時期が結果的には彼らのピークとなり、やがてスタイルを試行錯誤した末に89年の解散を迎えるわけだが、それゆえに若きアイデアが実を結んだ『Café Bleu』の価値はよりいっそう高まることになる。理想を抱いたウェラーの創造性が何度目かの頂点に達した時期の奮闘の記録を改めて掘り下げてみてほしい。

関連盤を紹介。
左から、ポール・ウェラーの2025年作『Find El Dorado』(Parlophone)、ジャムのベスト盤『Snap!』、スタイル・カウンシルのベスト盤『Long Hot Summers: The Story of the Style Council』(共にPolydor)、チェアメン・オブ・ザ・ボードの70年作『In Session』(Invictus)、インプレッションズのベスト盤『Definitive Impressions』(Kent)

BANGS & TALBOT 『Smokin’ Aces』 Acid Jazz(2026)

ウェラーの初作『Paul Weller』にも参加したアシッド・ジャズ人脈のクリス・バングスとタルボットが再合体した新作。グルーヴィーな鍵盤をキーにモダンなサウンドを聴かせる。モータウンのレア曲“T.L.C. Tender Lovin’ Care”のカヴァーも収録。