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世界最高の作品

 そして音楽史に残る規模で世界に広がったのが、続く通算6枚目のアルバムとして82年11月にリリースされた『Thriller』だ。引き続きクインシー・ジョーンズをプロデューサーに迎えたマイケルは、自身のペンによる4曲では共同プロデューサーのクレジットも獲得――オープニングを飾る原始的で未来的なダンス・チューン“Wanna Be Startin’ Somethin’”、ポール・マッカートニーをデュエット相手に迎えて微笑ましい恋の鞘当てを見せる“The Girl Is Mine”、ロック・ビートに乗せて激しいヴォーカリゼーションを聴かせる“Beat It”、そして絶妙に惹かれるシンセ・ワークに導かれた“Billie Jean”、である。これらの楽曲ではヴォーカル・アレンジのみならずホーンやリズムのアレンジまでマイケルが関わっていて、緻密なデモを自身で作り上げていたのであろうことも想像ができる。そんな4曲があったうえで、ロッド・テンパートンによる“Thriller”や、TOTOのメンバーによる美しい万華鏡のような“Human Nature”があり、それぞれが別々のベクトルで最高値を示しているのだから、そんなアルバムが凄まじくないはずがないのだ。

 最終的に〈世界最高のセールスを上げたアルバム〉となる『Thriller』は全米チャートで37週間1位を獲得し、7曲のTOP10シングルを生み出した初めてのアルバムとなった(シングル盤でリリースしないとシングル・チャートには入らない時代の話である!)。そのなかからは“Billie Jean”と“Beat It”がNo. 1を記録している。しかも7枚目のシングルとなる“Thriller”がUSでシングル・カットされたのは84年に入ってからということだから、実に足掛け3年もの間、このアルバムは幅広い層のリスナーたちに強烈に作用し続けていたのだ。

 そうして、懸案のグラミー賞に『Thriller』を引っ提げて乗り込んだマイケルは当時最多となる12部門にノミネート。そのうち年間最優秀アルバム賞を含む8部門で受賞して当時の最多受賞記録を更新した(ブルース・スウェディンの〈最優秀エンジニアリング録音〉部門を含む)。ここで〈史上最高の作品〉を作るという目標は、ある意味では達成されてしまったのかもしれない。