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GREATEST SHOW ON EARTH!
すでに世界を席巻中! いよいよ日本公開も間近! 話題作「Michael/マイケル」の鑑賞ポイントを改めてレポートしよう!

 本国などでは4月に公開され、日本では6月12日から公開となるマイケル・ジャクソンの伝記映画「マイケル/Michael」。鉄鋼の街として知られる地元インディアナ州ゲイリーでジャクソン5として活動を始めた少年時代から88年の〈Bad World Tour〉における勇姿までを描いた今作は、端的に言えばマイケルの音楽人生を伝説化されているエピソードと共に見せる爽快なエンターテインメント・ムーヴィーだ。

 青年期以降のマイケルを演じるのは、マイケルの実兄ジャーメインの息子、つまりマイケルの甥にあたるジャファー・ジャクソン。血縁ということもあり、公開前から熱い視線が注がれていたことは周知の通り。生き写しとまでは言わずとも、スクリーン上のジャファーは、歌やダンス、繊細かつ精悍な表情などマイケルが憑依したかのようで、感情移入させられる場面も多い。少年期を演じるジュリアーノ・ヴァルディもマイケルのインパーソネイターとしてSNSで注目を集めていただけにリアリティに溢れている。モータウン契約後のスタジオのシーンで、社長のベリー・ゴーディJr.を父のように慕う少年マイケルも実に愛らしい。

 華々しいキャリアの描写と共にストーリーの軸となるのは、スパルタ教育でジャクソン兄弟、特にマイケルを恐怖に陥れた父ジョセフ・ジャクソンとの確執だ。ジョセフを演じるコールマン・ドミンゴの演技も真に迫るが、その父による心理的虐待がトラウマとなって鼻の整形手術を行うなど、マイケルの心の内に踏み込んだシーンには切なさも漂う。幼少期から厳しい芸能界で過ごしてきたがゆえの孤独や少年時代の楽しみを失った欠落感。それゆえの少年性の奪還は、チンパンジーの親友バブルスをはじめとする動物との触れ合いなどを通して描かれていく。庭にいる孔雀には、ジャクソンズ時代に設立したピーコック・プロダクションズを連想するファンもいるだろう。が、デリケートな内面を見せつつ父をマネージャーから解雇して独り立ちしていく逞しい姿は、ジャファーの演技によって清々しい印象を与える。

 〈ドキュメンタリー〉ではなく〈劇映画〉である本作は、多くのバイオピックがそうであるように虚実が入り混じり、必ずしも史実に忠実な部分ばかりではない。その点では、スタジアムでのライヴ・シーンを大団円とする展開も含めて、製作を担当したグレアム・キングが以前プロデュースした映画「ボヘミアン・ラプソディ」(2018年)にも通じている。例えば、モータウンとの契約前にシカゴのリーガル・シアターでモータウン入社後の大ヒット“Never Can Say Goodbye”を歌う姿に違和感を抱くファンもいるだろう。グラディス・ナイトが最初にジャクソン5に目をつけたことも示唆しながら、当時モータウンのアシスタントだったスザンヌ・ドゥ・パッセが兄弟を発見したような流れになっているのも不思議だ。が、序盤でフィクションを織り交ぜた劇映画であることを悟ると、ファクトチェックも野暮かなと、大らかに接しようという気持ちにもなる。

 

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 マイケルがエピックでソロとして再出発するまでは駆け足でストーリーが進んでいく。本作が青年期以降のマイケルを演じるジャファーの銀幕デビューを売りとしていることを考えれば当然とも言えるが、『Off The Wall』でチームを組みはじめたクインシー・ジョーンズとの邂逅や共同作業に関しても大胆なまでに事の経緯が省かれている。やはり力点が置かれるのは、『Thriller』にまつわる伝説だ。特にショート・フィルムと呼ばれたMVなど、映像を通してポップ・ミュージックの新たな道を切り拓いたマイケルの功績に対しては時間が割かれる。

 CBS社長のウォルター・イエトニコフが黒人アーティストのMVを流さないMTVに直訴して“Billie Jean”のMVをオンエアさせたという有名なエピソードも(誇張気味に)描かれる。その“Billie Jean”を83年のTV特番「モータウン25」で歌ってムーンウォークを初披露したステージの再現は、ジャファーのダンスを含めた熱演ぶりという意味で本作最大の見せ場と言っていい。ゾンビとの群舞シーンで知られる“Thriller”のヴィデオ・シューティング・シーンでは〈特殊メイクを特殊メイクする〉というおかしさもあるが、圧倒的な完成度を誇るオリジナル映像の再現という難題もクリアし、この頃には観客もジャファー演じるマイケルに肩入れしていることだろう。また、実在するストリート・ギャングをMVに出演させたことで知られる“Beat It”のビデオ収録に至る経緯で敵対するブラッズとクリップスの間を取り持つシーンでは、反暴力を謳いながら当時の社会問題を炙り出した同曲よろしく、マイケルの平和主義者としての側面も強調される。

 〈Victory Tour〉でのジャクソンズ脱退(解散)宣言を経て〈Bad World Tour〉で大団円を迎える、キング・オブ・ポップ誕生前夜までの成功の軌跡。ゆえに、その後のスキャンダルに関する描写がないことについての議論は意味をなさない。続編の噂も飛び交うが、ここではマイケルが遺した音楽の圧倒的な力、そしてジャファー・ジャクソンの妙演に浸るのみだ。マイケルが不世出のエンターテイナーであったことを改めて実感させられるに違いない。

映画「Michael/マイケル」のサントラ『Michael』(Legacy/ソニー)

 


MOVIE INFORMATION
映画「Michael/マイケル」

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監督:アントワーン・フークア
脚本:ジョン・ローガン
製作:グレアム・キング/ジョン・ブランカ/ジョン・マクレイン
出演:ジャファー・ジャクソン/ジュリアーノ・クルー・ヴァルディ/コールマン・ドミンゴ/ニア・ロング/ケンドリック・サンプソン/ マイルズ・テラー/ローラ・ハリアー ほか
(2026年製作/128分/アメリカ)
原題:Michael
配給:キノフィルムズ
提供:木下グループ
2026年6月12日(金)より全国公開
https://www.michael-movie.jp